珈琲の香りで迎える朝
1R(37.4㎡)
サクっと一杯飲んで帰りたい時。おなかは空いているけれど、自炊は面倒なとき。そんな誰しもが抱える悩みにそっと手を差し伸べてくれるお店があります。それが代々木上原の「按田餃子」です。
text : ASAKO MIYAKE
女性一人のときだって、疲れていたら仕事帰りに外で一杯飲んで帰りたい。でも、わいわい騒がしい居酒屋で一人で飲むのも、ラーメンを食べながらビールを頼むのも、なんだか人目を気にしてしまってできない……。
そんなささやかな日常の悩みがあったのですが、ここなら絶対できる、と思えたお店がありました。それが「按田餃子」です。
代々木上原駅西口から、徒歩3分ほどの場所にあります。休日ともなれば多くのお客様でにぎわうこの場所も、平日の夕方は人気もまばら。それでも近所に住む方でしょうか、わたしと同じような一人客の女性や、奥のテーブル席には若い男性たちが3人ほどで談笑していました。
この按田餃子は、その名の通り、餃子のお店。お持ち帰りもすることができます。
メニューはちょっと変わったものが多く、台湾料理かと思いきや、そうでもないみたい。水餃子や麻婆飯などの定食や、按田餃子オリジナルの「ラゲーライス」という食事から、一品料理まで。あまり他所で食べないようなものもあるのですが、メニューにひとつひとつにどんな食材が入っているのかなどが記載されているので、じっくり選ぶことができます。
わたしが頼んだのは、按田餃子の定番の味、「大根と搾菜」の水餃子と、少しおなかが減っていたので豚そぼろ飯をチョイス。これで十分。こんな風に、その日の気分やおなかの具合とあわせて自分で組み合わせられる量だというのも、女性にはありがたいところなんですよね。それから、少し夏バテが気になる時期だったので、ふと目に留まった薬草茶もいただきました。ドクダミやオオバコ、ヨモギなどが含まれているよう。なんだか体によさそう。
餃子も、そぼろご飯も、味付けは濃すぎず、薄すぎずで、とっても優しい味わいです。味や使われている食材から、食べにくる人を思い浮かべて、その体を気遣ってくださっているような想いがわかるから、食べているこちらも元気になれるような気がします。特段店員さんと会話もしていないけれど、店中から優しさが伝わってくるようです。
帰りに、店内で販売されていた、店主の按田優子さん著「たすかる料理」を手にしました。そこには「生活を邪魔しない料理をつくりたい」、「気取らず食事ができるようにしたい」という按田餃子への想いがつづられています。やっぱりそういうことだったんだね、と納得できました。
*
家に疲れてごはんを作るのも面倒。でもそんなときに「按田餃子」があればいい。
家の近くに、こんなに心も胃袋も満足させてくれるお店があったら、きっとわたしなら通ってしまうだろうな。そんなことを思いながら、お店を後にするのでした。
按田餃子
住所:東京都渋谷区西原3-21-2 1F
https://andagyoza.tumblr.com/
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三宅朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。最近リノベマンションに引っ越したばかりなので、街だけでなく、室内の住環境を整えていくことにも興味津々。部屋中無印。