「お得」だけじゃない。自分らしさを楽しむ「リノベーション賃貸」の暮らしかた14の実例まとめ
goodroom でも多数ご紹介している「リノベーション賃貸」。綺麗な部屋に比較的お得に住めるのはもちろんですが、「自分らしい暮らしかた」にこだわりを持つ人にはぜひおすすめしたいところ。「リノベーション賃貸」に暮らす人たちの、素敵なインテリア実例をまとめました。…
団地、アパート、ハイツ、マンション。グッドルームで紹介しているいろいろなお部屋、その外観も含めて「お、これはなかなか面白いな!」ていうもの、時々めぐり合います。そう、集合住宅って、おもしろい! 世界のおもしろい建築をたくさん巡っているタケさんに、おもしろい集合住宅を紹介していただくコラム。
第10回は、団地界のスター的存在、「スターハウス」特集の後編です。高層・超高層のスターハウス。なかなか圧巻です。
前回(第9回の記事)は、上から見るとY字型をしたスターハウスというタイプの集合住宅を紹介しました。スターハウスは昭和30年代を中心に団地の景観のアクセントとして設置されましたが、昭和40年代以降はほとんど建てられなくなります。とはいえ、十数階建ての高層棟では数は少ないながらも継続し、近年はスターハウス型のタワーマンションも登場しました。今回はそれら高層・超高層スターハウスを紹介しましょう。
名称:千里竹見台団地
住所:大阪府吹田市竹見台
事業者:日本住宅公団(現・UR都市再生機構)
完成:1967~71(昭和42~46)年
千里竹見台団地は千里ニュータウン内の団地のひとつで、中層から高層まで多様なタイプの住棟が並んでいます。
スターハウス(14階建て)は阪急千里線南千里駅の前に3棟が密集。高層スターハウスとしては公団が建設した数少ない(唯一の?)事例であり、千里ニュータウンの先進性を象徴するその景観は今も見応えがあります。
名称:本城西第二団地
住所:福岡県北九州市八幡西区千代ヶ崎
事業者:北九州市
完成:昭和50年代?
本城西第二団地のスターハウスは10階建てが2棟。普通の中層棟が並ぶ中にドーンと屹立する姿は、やはり景観上のシンボルを意図したものと読み取れます。このスターハウスの特徴は普通の高層住棟3棟をY字型に連結したという点で、千里竹見台団地や従来の中層スターハウスが独自の設計であるのに対して、設計作業にさほど労力を費やさずに済むのは上手い方法です。私は福岡県内で他に2ヶ所の団地に同タイプのスターハウスを確認しており、他県にもおそらくあるだろうと見ています。
さて、中層と比べると10階建て規模の高層スターハウスはそれほど多くありません。ところが1980年代後半以降、これも多いとはいえませんがスターハウス型のタワーマンションが建設されるようになりました。なお、マンション業界ではトライスター型と呼ばれているので、タワーマンションについてはこの記事もそのように表記します。
名称:ベルパークシティG・J棟
住所:大阪府大阪市都島区友渕町
完成:G棟 1987(昭和62)年、J棟 1989(平成元)年
ベルパークシティは工場跡地の再開発によって誕生した大規模なマンション街で、そのうちG棟とJ棟のふたつ(36階建て)が日本初のトライスター型タワーマンションで建てられました。また、タワーマンション全般としても日本では初期の建物になります。
名称:ナポリタワー
住所:愛知県知多郡南知多町大字片名字浜山
完成:1994(平成6)年
愛知県の知多半島の先端にチッタ・ナポリというリゾートマンション地区があって、その1棟が34階建てのトライスター型です。他の事例がすべて都市部なのに対して、このナポリタワーは少々辺鄙な場所。未訪問なので写真はGoogleマップのストリートビューから。この時期はタワーマンションの設計にまだ慣れていないせいか、外観はベルパークシティに似ていますね。
名称:芝浦アイランドケープタワー
住所:東京都港区芝浦4-19
完成:2006(平成18)年
上記2件はタワーマンション初期の事例ですが、今世紀の建設ブームに入ってからは、ゼロ年代後半にまず東京都港区に芝浦アイランドケープタワーというトライスター型が完成します。階数はグンと増えて48階建て。東京モノレールの車窓からも見えるのですが、あまりにも近すぎるので特徴的な形は気付きにくいでしょう。
この頃になると、外部にフレームを露出したり色を塗り分けるなど、いま主流のデザインが見られます。
名称:スカイズ タワー&ガーデン
住所:東京都江東区豊洲6-10-8
完成:2015(平成27)年
スカイズ タワー&ガーデンは執筆時点での完成済みとしては最新のトライスター型タワーマンション(44階建て)です。
場所は大規模再開発が進む東京湾岸の豊洲地区。水面は東雲(しののめ)運河で、右奥は東雲地区のタワマン群。トライスター型の独特な形状は、広大なスケールの都市・土木景観によく似合っていると感じます。
さらに、中央区勝どきでは勝どきザ・タワー(53階建て)が2016(平成28)年12月の完成を目指して建設中で、完成すれば都内で3件目のトライスター型となります。
名称:アイランドタワースカイクラブ
住所:福岡県福岡市東区香椎照葉3-3-1
完成:2008(平成20)年
アイランドタワースカイクラブは福岡市の人工島アイランドシティにあるタワーマンションです。第5回の記事で紹介したアイランドシティ・インフィニガーデンの近くに建っています。
別の角度から見ると、建物に隙間が空いていることが分かります。実はこれ、細長い3つの棟を120度ずつ振った形で配置し、中間の3ヶ所をスカイデッキと呼ばれる空中庭園で連結するという、ユニークな構造をしているのです。
開発を手掛けた事業者はこの構造を「トリプルタワー」と表現していますが、上から見るとY字型には違いないので、トライスター型に含めていいでしょう。
写真と文・タケ