賃貸における窮屈な縛りからの解放。ホテル暮らしがもたらしたのは、想像以上の自由だった
コロナ禍になりリモートワークが当たり前になったことで、今がチャンスとホテル暮らしを始めて1年半。賃貸をやめるという、勇気ある大きな決断をしたNさんにとって、得られたものは想像以上に大きなものでした。今では「ストレスがなくて不安になるほど」と話すNさんにもたらされた、変化や考え方などについて聞いてみました。 …
二人の息子が社会人になり実家を出たことをきっかけに、goodroom「サブスくらし」を利用し始めたM.O.さん。これまで慌ただしく送っていた日常をゆるやかにペースダウンして始めた、54歳からの新たなチャレンジ。そして体験を通じて感じたことを聞いてみました。
text : ASAKO SAKURAI
<プロフィール>
M.O.さん/千葉県在住/54歳女性/二人の子どもの独立を機に、自分が本当にしたいことをしようと、不定期でホテル暮らしをスタート/持ち家での暮らしと両立しながら、これまで京都や白馬に、2週間から1ヶ月単位で滞在している
ーまず初めに、goodroomの「サブスくらし」を利用することになったきっかけを教えてください
息子が二人いるのですが、下の息子が社会人になり、一人暮らしをするために実家を出たことが大きなきっかけでした。長かった子育てがようやくひと段落したな、とホッと一息。慌ただしい日常に小休止を打ちたくなったんです。
以前から「ここではない、どこかに住んでみたい」という淡い憧れがあったんですよね。
今住んでいる家は持ち家なので、そんなに簡単に希望する土地へ移住はできません。サブスくらしだったら、今の家に住みながら、短期間の移住が具現化できるサービスだと思いました。
ー本当に長い間、家族のためにお疲れ様でした……。
いえいえ。子どもが中学にあがるくらいまでは本当に毎日必死だったのですが、少しずつ余裕ができてきて、仕事などもしながら、好きなことはしていたほうだと思います。
そうしていよいよ子どもが独立して、自分の時間ができたときに「これからしたいこと」について考えました。本当は老後のためにお金を貯めなきゃいけないのだろうけど(笑)。
自分が健康なうちに、したいことをしたいと、仕事も手放して人生のペースダウンすることにしたんです。親たちも80代なので、そっと寄り添う時期ではあります。
長期間は家を空けられないこともあり、旅行と移住の間のような感覚で使えるのが良かったですね。
ーサブスくらしの登録をされてから1年以上が経っていますが、実際に利用されたのは京都に1ヶ月、長野県白馬に2週間、の2回ですよね。それぞれどんなふうに過ごされたのでしょうか
サブスくらしに登録して1年。私のような使い方はイレギュラーだとは思うのですが、普段は980円の会員費だけを払って、時間を見つけて行きたい場所に短期間だけ行く使い方をしています。
京都には「一度住んでみたい」という夢があったので、それを叶えるために行きました。
京都はまさに大人の女性のテーマパーク。見えるものの多くがデザイン性が高くおしゃれで、若い人も多く活気がある。それでいて鴨川や山並みが美しくて自然も豊か。大好きな本屋さんや蚤の市を巡ったりしながら、楽しく過ごしました。
白馬に行ったのは、ハイキングが趣味だから。「UNPLAN Village HAKUBA」をベースキャンプに、湖を見に行ったり、ゴンドラに乗ったり、安曇野の方に足を延ばしたりもしました。
食事は体の負担も多いので、地元のごちそうばかりでなく調整しながら。1日1食グルメなものを食べたら、あとは本当に少なめにするなどしていました。
ー短期間の「旅行」「観光」との違いや、2週間以上の長期滞在だからこそ感じる面白さはどんなことがありましたか
京都も白馬も、できるだけ「現地で暮らす感覚」を大切に、地元に馴染んで過ごすようにしていました。予定もあまり事前にかっちり決めず、現地で考えるくらいの余裕をもって。
そのあたりが時間が限られた「旅行」との違いかもしれませんね。
白馬にいたころは毎日観光気分だと疲れてしまうので、1日、2日は近くの喫茶店や図書館でゆっくりしたり、スーパーで買い物をして自炊をしたり。地元の人が教えてくれた、小川のせせらぎを感じに散歩に行ったりもしました。体力回復のために、数日ホテルでのんびりと余白を楽しむ日も。
ホテルという帰る場所があるのは、安心しますよね。滞在中はホテルが、安らげる家のような場所になるので、そうしたところから日常感が生まれるのかもしれません。
ーお子さんが独立してすぐに行動に移せる、M.O.さんの行動力がすごいなあと感じています。ずっとやりたいことをやりたくて、ウズウズしていたんですか
それもありますが、「人間の健康寿命って、そんなに長くないんだな」ということを身をもって感じていることが大きいと思います。
私は40代のころに、父の病気と死を経験していて、仲の良かった友人も早くにがんで亡くしているんです。
頭では分かっていたつもりだったけれど、人って本当に死ぬんだなということを、普通より少し早く知りました。
だからこそ、周りを大切にしながら、自分自身の限られた人生をめいっぱい楽しまないといけないな、と思えたんですよね。
ー実際にサブスくらしを利用されてから、ご家族の反応はいかがですか
長男は「いいじゃん、いってらっしゃい」と送り出してくれたけれど、夫や次男、実の妹などは、なぜ私がそんなことをしているのか、まだちょっとよく分かってない感じがしますね(笑)。だんだんと、お互いに慣れていかないといけませんね。
でも京都にいる間には妹や次男が訪ねてきてくれたり、白馬には後日母を連れて行ったりしたんですよ。
住んだ経験があるというちょっとした自負があるから、地元民のように街を案内する感覚は面白かったし、遊びに来てくれた人に、私が楽しんでいる姿を見てほしいとも思ったんです。まだ子育て中の友人のなかには「いつか私もやってみたいな」と言ってくれる人もいます。
そんな自分の新しいチャレンジややってみてよかったことが、周りに作用しあい、巡り巡って誰かに喜んでもらえたり、背中を押すきっかけになってくれたらとても嬉しいです。
ー自分の家を持ちながらホテル暮らし、というとまだまだハードルが高く感じられる人も多いと思います。M.O.さんから何かアドバイスはありますか
人生一度きり。自分の家庭やお金のこと、子育ての状況などはあるけれど、タイミングが合えばやっちゃえ!と言いたいです。
私も最初はハードルが高かったです。でも、人生二度はない。自分の家庭やお金のこと、子育ての状況など、時機もありますよね。機を捉えて、飛び乗る感覚があります。
私の好きな一節にこんな言葉があります。ある庭師が、自分の夢の庭を作りたい人に「まずは、一本だけ木を植えて、その景色を見てみたら」というものです。まずは小さな一歩を踏み出すことの大切さを教えてもらいました。
また日頃から周りの人に感謝を伝えたり、出先から美味しいものや手紙を送ったりもします。普段の暮らし方にもメリハリができてきました。
シニア層の余生を楽しむ旅というと、どうしても豪華客船で世界一周!みたいなラグジュアリーなイメージがありませんか。でも普通の主婦である私にも間口が開いている、サブスくらしのようなサービスを利用すれば、全然遠い話じゃないんですよね。
海外移住のような大それたことでもなく、旅行ほど身近な感じでもない。数年単位でなく、2週間単位からできる。ハードルが低く、日常と非日常をゆっくり行き来できるところがいいなあと思います。
ーサブスくらしを利用しながら、本当に人生を楽しんでいらっしゃることが伝わって、とてもかっこいいです
実は私、死ぬまでにしたいことリストを書いているんですが、二つ叶っちゃったんですよ。「京都に住んでみたい」というのと、「山の側で暮らしたい」という二つ。
「人生一度は〇〇で暮らしたい、過ごしたい」という場所基点の憧れって意外とありますよね。そうした夢も、サブスくらしのようなサービスを使えば比較的簡単に叶うんだということを、知らない人に知っていただけたら嬉しいかな。
今度は大阪の方でサブスくらしを利用する予定です。あまり馴染みのない街なので、今から楽しみです。
これからも時間を見つけては、行きたい場所に行って、その街を楽しみながら、潤いのある人生の後半を送りたいです。そんな時間をゆっくりゆっくり、味わっていきたいと思います。
「goodroom サブスくらし」は、月額69,800円から、家具・家電つきのマンスリーマンション、そしてホテルに自由に住み替えが可能なサービスです。
家具や家電、WiFiなど、必要なものが揃っているので、引越しで用意するのは、スーツケースひとつだけ。敷金・礼金などの初期費用もありません。
goodroom が運営するマンスリーマンションにプラスして、全国47都道府県800施設以上のホテルが利用可能。
毎月自由に住む部屋を変えられて、リーズナブルに好きな街に住む。そんな賃貸より身軽な暮らし方を実践してみませんか?
櫻井朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。センスがないのでおしゃれなインテリア、お部屋に興味津々。趣味は読書、刺繍、季節の手仕事など。詳しいプロフィールはこちら