賃貸における窮屈な縛りからの解放。ホテル暮らしがもたらしたのは、想像以上の自由だった
コロナ禍になりリモートワークが当たり前になったことで、今がチャンスとホテル暮らしを始めて1年半。賃貸をやめるという、勇気ある大きな決断をしたNさんにとって、得られたものは想像以上に大きなものでした。今では「ストレスがなくて不安になるほど」と話すNさんにもたらされた、変化や考え方などについて聞いてみました。 …
新しい暮らし方を実践している方々に話を伺うインタビュー企画。第7回はgoodroomの新サービス「goodroomホテルパス」のアンバサダー制度を利用して、浅草のホテルに1週間滞在した、Kさんに話を伺いました。
text : ASAKO SAKURAI
都内のインテリアメーカーで企画やマーケティングの仕事に携わっている、Kさん。現在は東京のすぐ隣りの、千葉県内で一人暮らしをされています。もともと都内で暮らしていたそうですが、引っ越した理由は「趣味の時間を思い切り楽しむため」だったのだそう。
「コロナ以前は仕事が終わったら、家に寝に帰るだけ、という生活をしていました。また、もともと海外旅行が趣味で長期間、自宅を空けることも多かったので、部屋は荷物置き場のような認識だったんです。だからとにかく賃料が安くて、収納スペースが広いところ、という条件で千葉に引越しました」
海外旅行に思うように行けなくなったいま、Kさんの興味は登山やキャンプなどのアウトドアに向いています。週末で晴れている日のほとんどは、趣味の時間に充てているのだそう。
仕事さえ趣味の時間をいかに確保するかを目的に選んだKさんのような方にとって、1週間のホテル暮らしはどのように影響したのでしょう。リッチモンドホテルプレミア浅草で体験宿泊をされて感じたことを伺いました。
現在の勤務スタイルは在宅勤務が主となり、週に1、2回出社する程度だという、Kさん。ホテルの個室は、仕事に集中する環境として最適だったといいます。
「会社のセキュリティの都合上、背後に人通りのあるコワーキングスペースやカフェでの作業が難しいんです。そのためホテルの個室は周りを気にせず集中することができて、とても良かったです。
あとは在宅勤務になって感じたのが、自宅周辺に気分転換ができるカフェや、散策できる公園、歩いていて楽しい散歩コースが欲しいな、ということ。いま住んでいる周りには、あまりそういうところがなくて。今回宿泊した浅草周辺は観光スポットだけでなく、お店も多い。これまで、自分が住んでいる地域で過ごす経験があまりなかったので、すごく新鮮で楽しかったんです」
自宅と職場は片道1時間ほどかかる一方で、浅草であれば20分ほどで済むそう。1日の中で同じ行動をするのに40分も時間が短縮できることは、都心で暮らす大きなメリットだと感じたようです。
ホテル暮らしを経て短縮できたのは、通勤時間だけではありません。掃除やリネンの洗濯、作り置きおかずの準備、ゴミ出しなどの「家事の時間」が、強制的に一切なくなったことはとにかく新鮮な体験だったと目を輝かせます。
「外出先から帰ってきたら、部屋がピカピカにきれいになっていたときには、ちょっと感動すらしましたね。自宅ではありえないことなので。まったく家事の時間がなくなった、というよりは“短縮された”ことだけで、すごく自分の生活にプラスになったな、と感じます」
家事や通勤時間が短縮されたことで特に良かったのは、余暇の時間を十分に確保できたこと、とKさん。仕事が終わった後は持ち込んだHDMIケーブルでパソコンとテレビをつなぎ、動画配信サービスを活用して、映画鑑賞などをしながら過ごしたのだそう。
「本を何冊か持ち込んでいたので読書をしたり、テレビの大きな画面で映画を観たりして夜を過ごしました。洗濯などの家事がないので、夜にはやることがなくなるんですよね。
これまで休日にしかできていなかったことが、平日の仕事が終わったあとにできるというのは大きなメリットだと思いました。暮らし方を変えるだけで、こんなにも使える時間が増えるのかと、驚きましたね」
Kさんが宿泊されたホテルは、つくばエクスプレスが走る浅草駅から徒歩2分という立地。周辺には飲食店が豊富にあるだけでなく、デパートの松屋や、SEIYUなどのスーパーも充実しています。日ごろの食事はどのようにされていたのでしょう。
「朝は近所のパン屋さんで買ったパンを食べて、昼は外食をしたり、買ってきたものを食べたりしましたね。夜は松屋のデパ地下で普段は買わないような、ちょっとリッチなお惣菜を買って楽しみました。
またホテルの1階にある『まるごとにっぽん』という、全国の美味しいお酒などが買えるお店があったのでよく利用しました。1週間の期限付きだったから、奮発して食事にはお金をかけましたね」
家事は面倒で、あまり好きではないと話していたKさん。それでも料理は好きで、自宅では自炊が中心の生活だったそう。だからこそ共用スペースでもいいので、キッチン付きのホテルのほうが自分には合っているのかもしれない、と振り返ります。
「自宅にいるときは、冷蔵庫にあるものでパパっと料理をつくることが多かったので、毎日わざわざ外出しないと食事ができないのが少し不便だったかなと思います。ほかにもお酒を飲んだ時のカップをすぐに洗いたい時にも、やっぱりキッチンは必要かな、と。
自分にとってキッチンは必要な設備だったというのが分かったことは、意外な発見でしたね」
リッチモンドホテルプレミア浅草では、5階のレストランで、ビュッフェ形式で朝食を提供しているのも特徴。1回あたり2,500円かかるので、毎日とはいかないものの、朝食後すぐに予定のない土日などに、自分へのご褒美に利用してみたいと話していました。
ホテル暮らしを経験した1週間を振り返り、自分のライフスタイルを見直すきっかけになったと、Kさんはいいます。
「この1週間、まったく使わなかったけどほとんど困らなかったモノが、自宅に山ほどあるんですよね。それって自分にとって本当に必要なものなのか、もっとシンプルな生活ができるのではないかと、問い直すきっかけになりました。
モノを減らすことができたら、仕事にも集中できるホテル暮らしは、最適な環境なのではないかと思い、もう少し長い期間チャレンジしてみたい気持ちがあります」
一方で趣味の登山やキャンプで使用するアイテムに場所をとるため、両立が難しいのではないかと頭を抱えます。
「趣味の道具がとにかく多いので、そこだけが引っ掛かりますね。もし始めるのであれば、トランクルーム付きのホテルなどを検討してみようかな、と思っています」
モノを減らし、日々の時間を効率的に使うこと。それはKさんがずっと思い描いていた理想の生活にも繋がっていくようです。
「この先もやっぱり、海外旅行や登山などのアウトドアにはずっと興味があると思うんです。だからこそ、いつでもフレキシブルに自分が動けるようにしていたいのがずっと理想で。夏は長野に移住、冬は暖かい場所に行くになど、季節に応じて住まいを変えられたら、もっともっと生活が豊かになるのではないかと思います。
テレワークが進んで実現可能性が高まっている今だからこそ、より考えるようになりました。自分にとって最適な暮らしを送るために、何をしたらいいのかはゆっくり考え続けたいですね」
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余計なものをそぎ落とし、自分が幸せでいられる時間を増やす。多くの人が憧れる一方で、叶えられる人はほんの一握り、と考えがち。
自分とよく向き合って、仕事も住まいも選択してきたKさんだからこそ、この先理想の暮らしに向けて、また新たな一歩を踏み出していくのでしょう。1週間のホテル暮らしが与えてくれた気づきは、思っていた以上に大きかったのかもしれません。
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櫻井朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。最近リノベマンションに引っ越したばかりなので、街だけでなく、室内の住環境を整えていくことにも興味津々。部屋中無印。