上京をきっかけにはじめたホテル暮らし。趣味や自分らしさを優先する暮らし方のコツって?
新しい暮らし方を実践している方々に話を伺うインタビュー企画。第18回は、2021年の夏からホテル暮らしを始めたOさんにお話を伺いました。 仮の住まいとしてスタートさせたホテル暮らしも、気づけば1年半が経っていたとのこと。その背景には、ホテル暮らしの快適さと、Oさんが大切にしている生活のスタイルがありました。…
ビビッドなカラーと大きなネオン。おしゃれな内装が話題となり、SNSでも人気のホテルのひとつである、鶯谷「ランダバウト東京」。でもデザインだけじゃない。goodroomホテルパスを利用して長期滞在してみたら、どんな生活ができるのか。ホテル内の様子や、鶯谷の街の魅力について取材しました。
text : ASAKO SAKURAI
「鶯谷(うぐいすだに)」とあなたが聞いて感じる、街のイメージはどんなものでしょう。
歓楽街?治安が悪そう?女性一人で歩くのが怖そう……。
多くの人がそんなイメージを持っているかもしれません。わたしもその一人でした。
けれど今回訪れたホテル「LANDABOUT TOKYO(以下ランダバウト)」での体験宿泊を経て、イメージが一変しました。山手線の線路沿いから見えていたホテル群の先には、下町のカルチャーが色濃く残る、魅力的な鶯谷の街並みが見えてきたのです。
鶯谷は山手線沿線と京浜東北線が走る駅の一つ。日暮里駅と上野駅の間に位置していて駅間の距離が短いこともあり、上野公園には徒歩10分ほどで着くことができます。駅別乗降客数をみると、鶯谷駅は最下位の29位(平成30年時点)。けれど山手線沿線なのでアクセスの良さは抜群です。
ランダバウトはそんな鶯谷駅の南口から徒歩5分ほどの場所にあります。山手線が走る駅でありながら、駅のサイズは少し小さめ。どちらかというとのどかな田舎町のような雰囲気も残っています。取材当日は梅雨明けの晴天。夏の始まりを感じる青々とした空が広がる風景が印象的でした。
いくつも走る線路をまたぐ大きな橋を渡り切ると、今回宿泊するホテル、ランダバウトが見えてきました。15階建ての建物には169部屋の客室が用意されています。マネージャーの濱田光紀さんと足立巴奈子さんにお話を伺いました。
ランダバウトは2020年1月にできたばかりの、まだ新しいホテル。もともと銀行があった土地を活用して建てられました。
「信用金庫自体が人が集まる場所だったので、その思いを受け継ぎこのホテルのコンセプトも『まちと旅人の交差点』としました。地域の人がホテルに来たり、宿泊者が街を楽しんだり。ホテルを拠点に、地域の人・宿泊者・街が交わるような場所を目指して『LANDABOUT(環状交差点)』という名前をつけたんです」
1階には谷中エリアを中心に飲食店を経営する企業とタッグ組み、カフェバーを併設。ここでは宿泊者用の朝食をいただくことができます。(一食あたり1,100円で提供)
1階の飲食店の食事はテイクアウトの予約もできるので、ホテルの室内でいただくことも可能です。外に出るのが面倒なとき、ホテル内でほとんどのことを完結できる設備があるのはありがたいですね。
3階から14階は1名から利用できるコンパクトダブルルームから、5人まで泊まれるファミリー向けのお部屋まで、さまざまな用途に応じて使い分けできる部屋が用意されています。
「1階のロビーやレストラン、2階のラウンジ、15階のテラスなど、どこにいても気持ちよく過ごせるようにこだわって造られています。部屋で仕事をされる際の気分転換に、ぜひ活用していただきたいです」
ホテルの室内を見ていきましょう。ビビッドなカラーが使われたロビー付近と一転、ナチュラルで落ち着いた雰囲気のデザインです。
広さは11㎡とコンパクトながら、あまり狭さを感じません。その秘密はベッドにありました。
他にも無料のアメニティ配布サービスなども充実していました。わたしは低反発枕を貸していただくことに。ホテルの枕は硬さがしっかりとしていて合わないことが多いので、こうしたサービスは本当にありがたいです。
ホテルの開業前から周辺の飲食店などへの挨拶まわりを熱心に行ったという、濱田さん。ホームページには、当時街の人たちに協力してもらった、おしゃれな写真がいくつも掲載されています。
鶯谷の街について伺うと「とにかく面白い!」と教えてくれました。
「鶯谷は関東大震災や、東京大空襲でもあまり被害が少ない地域だったそうです。そのため古い建物や、昔ながらの飲食店もたくさん残っている街なんですよ。東京は新しい建物がどんどんできていくイメージだと思いますが、それとはまた違う、ディープな東京を感じられるエリアなんですよね」
ホテルから徒歩7分ほどの場所にある「レボン快哉湯」もその一つ。1928年から約90年間続いた銭湯は、その役割を終え3年前に廃業。現在は銭湯の名残をのこしながら、カフェ兼オフィスとして運営されています。
お店の人と話したり、読書をしたり。仕事の息抜きに来ると良さそうです。
古くからあった住宅を改装した建物の中には、さまざまな場所に椅子や机が配置されていて、好きな場所で思い思いの時間を過ごすことができます。
普段は出合わない本との出合い、庭を眺めながらいただくお茶、日ごろの悩みを書き出す時間……。忙しない日常から一歩抜け出して、「何もしない贅沢」を存分に味わうことのできる空間です。
ほかにも名物ママのいる下町の洋食屋「レストランQ」、オーガニック食品やドライフルーツなどの量り売り食材を提供してくれる「cafe&kitchen ayacoya」、銭湯価格で複数のお風呂とサウナなどを楽しめる「萩の湯」など、ランダバウト周辺には一人で訪れても楽しめるお店がたくさんありました。
どこへ行っても「ランダバウトに宿泊している」と伝えれば、会話も弾みます。なんだか一人で暮らしているようで、一人じゃない。そんな気持ちになれる気がしました。
*
取材当時、7月上旬から東京都内で開催されている「東京ビエンナーレ」に合わせ、イベントが行われていました。
いくつかのお店を巡るため街を散策していると、わたしが想像していた「鶯谷」のイメージがガラガラと崩れさっていくのが分かりました。まさに、いまランダバウトを中心に、鶯谷の街が変わろうとしている。それは決して見せたくないものを隠すということではなく、何事も面白がって魅力を掘り起こしていこうよ、という作業のようにも見えます。
まさに「まちと旅人の交差点」。
街のイメージで判断するのではなく、自分自身が入り込んで生活をしながら街を楽しむこと。自宅とホテルの間のような、そんなゆるやかな生活を楽しめるホテル、ランダバウト。まずはスタッフの方とお話に行くだけでもOKです。ぜひ気軽な気持ちで足を運んでみてはいかがでしょうか。
>ホテル「ランダバウト」のInstagramはこちら
>「ランダバウトテーブル」(1Fレストラン)のInstagramはこちら
>「レボン快哉湯」のInstagramはこちら
>「リトレアヒーリングラウンジ」のInstagramはこちら
▼新しく追加されたホテル情報など、最新情報をほぼ毎日更新中!
櫻井朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。最近リノベマンションに引っ越したばかりなので、街だけでなく、室内の住環境を整えていくことにも興味津々。部屋中無印。