おいしいコーヒー屋さんのある街に住もう!「紙屋町〜八丁堀」エリアのおすすめ物件まとめ
ほっと一息できるカフェのある街に住みたい。広島の素敵なコーヒー屋さんがある街の、おすすめ物件を紹介します。第二弾は、「紙屋町〜八丁堀」エリアです。…
日々を過ごす中で、あるいは旅に出た先々で、たまたま立ち寄った土地、そこで出合った人や味やもの、目に入ってきた景色。あなたが、そのときに体験した出来事とともに、だれかに伝えたいと思った場所、それがgood spotです。それぞれの記憶の引き出しにしまわれて、大切に保管されている思い出のspot、あるいは、日常的に訪れる何気ないけれど気に入っているspotなどを、毎回ゲストをお呼びしてご案内いただきながら、仕事や暮らしのなかで大切にしたい価値観をお聞きします。
(つるやももこ)
長野陽一さんプロフィール
福岡県出身。1998年、沖縄、奄美諸島の島々に住む10代のポートレイト写真「シマノホホエミ」を発表。以後、全国の離島を撮り続けシリーズ化。2001年にそれらをまとめた写真集『シマノホホエミ』を情報センター出版局より、2004年に『島々』をリトルモアから上梓。2008年、改訂版『シマノホホエミ』をフォイルより出版、各地で展覧会を開催。2012年、島に暮らす人々を海の中で撮影した写真集『BREATHLESS』をフォイルより出版。合わせてFOIL GALLERY(京都)、AL(恵比寿)にて個展を開催。
2001年に、情報センター出版局から出版された写真集「シマノホホエミ」。長野陽一さんの処女作には、沖縄や鹿児島、北海道の離島で暮らす10代の少年少女のポートレイトが収められている。長野さんは、カメラアシスタントをしていた時代に師匠の仕事で宮古島を初めて訪れた。もう20年近く前のことだ。そこで、今の写真の方向を決めた出会いがあった。
カメラを携えて街を歩いていると、前から、花束を持ったセーラー服姿の少女たちが歩いてきた。ところが、なぜか全身粉だらけ。顔まで真っ白の彼女たちに聞けば、その日は中学の卒業式だったという。島には当時、在校生が卒業生を送り出す際に小麦粉を投げつけるという手荒い風習があって、人気者ほど標的にされるとそのときに聞いた。その季節、真っ白な中学生が街を闊歩する姿は、街の風物詩のようなものだった。少し誇らしげな彼女たちを長野さんはフィルムに収めた。
東京に戻ってさっそくプリントしてみると、そこには自分が暮らす街とはかけ離れた世界が写っていた。滞在中は、ただ淡々と宮古島の日常をとらえているつもりだったから気がつかなかった。じつは、そのささいな日常を写した一枚一枚に、文化や気候の違いや驚きと発見が詰まっていたことを改めて知ったのだ。粉まみれの少女たちは、島そのものの姿を物語る断片。日に焼けた素肌、長いまつげと凛々しい眉、屈託の無い、でも、すべてはさらけ出さない微笑み。今の彼らにとっては、この島が世界のすべてなのだ。やがて、長野さんは東京と島々を何度も行き来するようになる。行く先々で、10代の少年少女とコミュニケーションをとりながら、彼らのポートレイトを淡々と撮ることを続けた。カメラを触媒に会話をするうちに、不完全に堂々と生きる10代の普段の顔を通して、島の実体そのものを写そうとしていた自分に気がついたのは、本当に最近のこと。それに気づけたのは、島に暮らすのではなく、常に自分は旅人として新鮮な目を保ち、島へ足を運んだからこそ、と長野さんは言う。
昨年、『長野陽一の美味しいポートレイト』(HeHe)を上梓した。雑誌や単行本のために撮りおろしてきた料理写真だけをまとめた写真集のタイトルに、なぜポートレイト=肖像という言葉を使ったかといえば、これまでの話と自然に結びつく。被写体は人であろうと料理であろうと関係がない。長野さんが撮りたいのは、そのものの背景。少年少女の背景に、彼らを育んだ島の自然や風物があったように、料理の背景には、それを作ったひとや場があり、材料を育てた土地がある。日常のもろもろには、どんなにささやかなことにもすべて物語がある。だからこそ、みえない物語を写すことがポートレイト写真の真髄と、長野さんは考えているのだろう。
福岡出身の長野さんが、仕事や帰省の際に、かならず立ち寄る店がある。『ADDICTION』というセレクトショップだ。今日持っているかばんも、その店で手に入れた。レコードを入れるのにちょうどいいと勧められたかばんで、四つ切り写真の印画紙のボックスがすっぽりと縦に納まる。重たくなったら背中に背負える。小さくたためて軽いナイロン製なので、旅にも持っていきやすく、汚れたら拭ける。優れものだ。以前ここで買ったデニムシャツは、比翼の部分に青いペイントが施されている。洋服も道具も機能が第一。スタンダードなかたちが好みだけれど、そこに作り手のこだわりや主張、愛嬌がほんのり添えられているものに惹かれる。『ADDICTION』には、そんなささやかな意図やもののスト—リーをきちんと説明できるスタッフがいる。だからこそ、足を運ぶのが愉しい。
good Spotと一口に言って、goodの価値観は人によって違う。長野さんにとっての「good」を、別の言葉に置き換えると、「ふつう」、「まっとうな」、「自然体」というキーワードになるそうだ。グッドなのにふつうというのは矛盾しているように感じる人もいるかもしれないが、長野さんにとっての「ふつう」は、最上の褒め言葉。飲食店でいえば、古いけれどいつも隅々までそうじが行き届いている定食屋であったり、とにかく手を抜かずにひとつの味を作り続けているメキシカンタコスの店であったり、家庭用ドリッパーで誰が淹れてもおいしく入るコーヒー豆を焙煎する店だったりする。寒さに凍えながら店に入ってそこで暖かいおしぼりがでてきたら誰もがほっとするように、過剰にならない程度のホスピタリティがあって、なにより店主が真剣に、楽しく商っている店。それこそがふつうでまっとうと、長野さんは言う。今日お話を聞いた「カフェ・グリル・バー太陽」もそんな店のひとつ。独身時代から通っているが、仕事が遅くなってもお酒とコーヒー(ハンドドリップ)が両方飲めて、小さな子どもがいてもきちんと食事ができるから、友人にも勧めやすい。
“ふつう”は些細なことだけれども、実は一番難しいかもしれない。だからこそ貴重で大切なgood Spotになり得るのである。
文・つるやももこ
1975年埼玉県生まれ。女子美術大学デザイン学科卒。2000年より、全日空機内誌『翼の王国』編集部にて、取材・執筆の仕事に就く。2006年にフリーに。主な雑誌は、『Ku:nel』(マガジンハウス)、『旅』(新潮社)著書に、絵本『もものじてん』(すえもりブックス)、『マーケット日和』(アノニマスタジオ)、『旅のかけらの残し方』(アスペクト)がある。主に旅、地域の食や伝統工芸・地場産業など取材・執筆している。
故郷でもある福岡には、大好きな洋服店がいくつかある。その中の一軒「ADDICTION」は、仕事や里帰りの際に必ず立ち寄る店。シャツやバッグなど、スタンダードなデザインながら、細かなディテールにこだわった商品を見つけることができます。最近の気に入りは、『Kaci』のバッグ。レコードを入れるのにちょうどいいと勧められたかばんは2WAY仕様で、リュックにも。四つ切りサイズの印画紙用の箱も、額に入った写真もすっぽり入る。色違いも購入しようか検討中。
https://www.facebook.com/addiction.fukuoka
2000年、開店当初から行きつけの店。仕事終わりの遅い時間に訪ねても、お酒も珈琲も飲めて、おいしいご飯も食べられる貴重な店。しかも、子ども連れにも優しいので、都内に暮らしていたときは家族でよくご飯を食べに来ていました。おすすめはいろいろあるけれど、ハンバーグゴロゴロやちくわ納豆の磯辺揚げ。オリジナルブレンドの太陽コーヒーもおいしい。
http://taiyoo.exblog.jp/
メニューはタコスのみ!一人前4つで500円也。いつも2人前は食べる。トマト、レタス、挽肉、サルサソースを包み込む皮が絶妙で、パリッとしていながらモチモチとした食感がたまらない。「単純なメニューだからこそ、手間を惜しまずに作られている」そんな気がする。これを食べるためだけに沖縄に行きたい。行ってほしい。
http://tabelog.com/okinawa/A4703/A470404/47000173/
宮古島から車で渡れる来間島(くりまじま)は、サトウキビ畑と小さな集落、そして白い砂浜が広がる本当に美しいところ。朝早起きして散歩がてらにカフェへ行き、マンゴーグラニテかドラゴンバナナジュースを飲みながら、景色を眺めてひたすらぼーっとするのが何よりの至福。屋外へと自然と開けた店の造りもよく、リゾート然と格好をつけていないのが何よりいいのです。
http://tabelog.com/okinawa/A4705/A470503/47001429/
じつは、昔はコーヒーが飲めませんでした。たまたま取材で訪れて、心から美味しいと感じた初めてのコーヒーがここの一杯。それから、豆を取り寄せて家でも飲んでいますが、ペーパードリップで素人が普通に淹れても美味しい。それってすごいことだと思います。そこに行かなければ絶対に味わえない味とはまた別の、すごさだと思います。
http://tabelog.com/ishikawa/A1704/A170402/17001259/
宮古島の何が一番魅力的かと聞かれれば、ひと言「気張っていないところ」と答える。全長7kmもの真っ白な砂浜が続く前浜ビーチも、そんなところ。東洋一の美しさと言われていて、ともすれば大リゾートになってしまう可能性があるのに、奇跡的に”ほったらかし”でありのままの美しさが残っている。そんな心に描く美しいビーチの見本のような場所だと思う。
http://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g680765-d1412209-Reviews-Yonaha_Maehama_Beach-Miyakojima_Okinawa_Prefecture_Kyushu_Okinawa.html
地方に行ったら、古くから商っている金物屋を覗くのが好きだ。恵比寿に行ったら、この店に行く。昔から、引き出しの取っ手、ネジ、扉の蝶番、電気の傘、フックなど、パーツと呼ばれるものを見ると無性にワクワクして、「この取っ手はどんな材質のドアに合うだろうか」「これはあの引き出しにぴったりだな」、そんなことを想像して楽しんでいる。そうやって、「いつか使うかも?」と思いながら、ついついさまざまな小さなものを買ってしまう店です。
http://pfservice.co.jp/
ひとことで語るなら「危険を絵に描いたような場所」、それが辺戸岬。断崖には柵などの人工物がいっさい無く、見渡すかぎり空と海が広がります。下を眺めれば、激しく打ち寄せる波……。そにかく自然の驚異を感じる。前浜ビーチ同様、手つかずの自然、いい意味での”ほったらかし”の美しさが残る貴重な場所です。
http://kunigami-kikakukanko.com/itiran/06.html
備瀬地区は、昔ながらの沖縄の民家が残っている地域。石積みの塀と、家を台風から守る防風林”ふくぎ”並木が続くその先に、海が見えます。この古民家を民宿に改装した『しらぱま』に泊まるなら、離れの「綛掛(かしかき )」がおすすめ。お風呂やトイレはきちんと清潔で新しく、でも、昔ながらの沖縄の暮らしを経験できる貴重な宿です。
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/67254/CUSTOM/67254140405191805.html
近所なのでよく足を運ぶ場所。日本の作家の展覧会を多く企画していて、美術作家の内藤礼や彫刻家の宮脇愛子の展示が素晴らしかったです。かつては美術館に喫茶店が併設されていて、そこのプリンが素朴でとにかく美味しかった! 家で手作りする素朴な味わいで、展示の後は必ずこのプリンを食べていましたが、無くなってしまって残念でなりません。
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/public/HallTop.do?hl=k
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文中に紹介した長野陽一さんのおすすめスポットは、『街と暮らしのクチコミアプリ goodspot』で詳細を見ることが出来ます。
ぜひ使ってみてくださいね。