本当に大切にしたいモノと価値観を見つめなおす場所。日本橋馬喰町「DDDホテル」宿泊レビュー
日本橋馬喰町にあるライフスタイルホテル「DDD HOTEL」。goodroomホテルパスを利用して長期滞在してみたら、どんな生活になるのか。ホテル内の様子や、周辺環境などを取材しました。…
JR川崎駅、2020年にオープンしたばかりのホテル「縁道」。goodroomホテルパスを利用して長期滞在してみたら、どんな生活になるのか。ホテル内の様子や、周辺環境などを取材しました。
text : ASAKO SAKURAI
一人暮らしを始めたころ、「ただいま」や「行ってきます」を言えなくなることが、少しだけ寂しかったときがあります。
けれど今回宿泊した川崎にあるホテル「縁道(えんみち)」では、スタッフの方の心のこもった笑顔と挨拶が心地よく、とても穏やかに過ごすことができました。
縁道があるのは、川崎駅から徒歩8分。JR東海道本線、南武線、京浜東北線・根岸線が走るだけでなく、少し歩いた場所には京急線も走っています。住所では神奈川県になるけれど、地図上で見れば東京・蒲田駅からたった1駅。都内へ出やすいだけでなく、横浜や神奈川県沿岸の観光スポットにも行きやすい、アクセスの良さが魅力です。
また川崎は、江戸時代に日本橋から数えて2つ目の宿場町として栄えた歴史もあります。そんな歴史的な背景もあり、ホテルのコンセプトは「広く住民に開かれたホテル」を目指していると教えていただきました。
現在も川崎駅を中心として、ビジネスや観光の拠点に利用される方が多いのだそう。また川崎市内の方も、コロナ禍の気分転換や仕事場として活用している方も多いといいます。
さっそくホテルの中に入ってみようとして気になったのが、縁道の前にある工事現場の仮囲いに描かれた、ダイナミックなアート。さすがに落書きのレベルではないよなぁと思ったら、やっぱりその通り。
中澤さん「川崎はダンスやアート、音楽などの”ストリート”文化が昔からあるんです。ここは3年後に完成予定の川崎市役所を建設している場所なのですが、せっかくだからと市の職員がオファーをして、海外でも活躍するアーティストを招き、実際に描いてもらったものなんですよ」
ご縁があって縁道に滞在しながら、作品を描き続けたというアーティストの方々。実は縁道の客室の中にも、同じアーティストによって壁画を描いてもらった部屋が存在します。3年後に仮囲いが外れてしまって作品がなくなったらもったいないと思い、中澤さんが提案して実現しました。実際にアートが描かれた部屋に泊まることのできるプランも販売中とのことです。
チェックインを済ませると、小さな折り紙のようなモノを渡されました。
中澤さん「オリジナルのカードキー入れです。開くと周辺の地図が描かれていて、スタッフおすすめの飲食店などが載っています。せっかく紙を使うなら、お客様にとって必要な情報として渡せたらと思ったんです」
単なるカードキーが、ホテルからいただく初めてのギフトになりました。一つ一つ折られた、心のこもったおもてなしに温かい気持ちになります。
さらにフロント脇にあるのは、縁道独自の恩送りサービス「ご縁繋ぎ」。
次にぜひ想いを熱く伝えたいのが、食堂。朝食・昼食・喫茶・夕食とほぼすべての時間帯を網羅して、食事を提供してくれます。(2021年6月中旬現在は、朝食は休業中)
私が夕飯をいただいたときは、おそらく近所に住むのであろう、お子様の習い事帰りと思われる家族連れ、「以前来たことがあって良かったから、今度は友達を連れてきたよ!」という若者、そして一人でゆったり食事をする人などが訪れていました。以前はママ2人組の後に次々と友人が集まり、気が付けば10人くらいになっていたという団体もいたのだそう。
まさに、街に開かれた店づくり。どんな方にとっても居心地が良く、背伸びしないでいられる親しみのある空間。何より料理がどれもひと手間加えられていて、美味しい!
食事は滞在する上でとても大切な要素の一つ。たまに遠出をして外食もいいけれど、「ここに行けば安心」と思える飲食店がホテル内にあるというのは、かなりポイントが高いです。
ほかにも個人経営の飲食店がちらほらとあるので、食事には本当に困らなそう。さらに野菜も手に入るまいばすけっとや、ファミリーマートなどのコンビニも徒歩圏内に多数ありました。
駅前のアトレには無印良品や東急ハンズなど、一通り人気のショップが入っています。縁道から徒歩4分の場所にはTOHOシネマズ川崎も。すきま時間に映画を楽しむこともできそうです。電車に乗って遠くの街に行かずとも、たいていのことはこの辺りで済んでしまいますね。
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中澤さんに「川崎とはどんな街か?」と尋ねたところ、「多様性のある街かな」と答えてくれたのが印象的でした。年齢や年収、性別に関わらず誰もがここにいていいんだ、と思える場所。
その川崎の懐の広さを踏襲してつくられた、ホテル縁道。フロント、清掃、食堂のシェフ、飲食店スタッフ……。どんな方も明るく気さくにふるまい、私たちを迎え入れてくれる。それでいて一定の距離を保って接してくれることが、とても心地よかったです。ホテル側のみなさんの想いが、今回ご紹介した一つ一つのサービスに行き届いているのだと思います。
一人暮らしではあるのだけれど、挨拶する存在がいるということ。
毎日暮らすホテルだからこそ、そんな気遣いがとてもありがたく、長期間いても落ち着いて過ごすことができるのだろうと感じられるホテルでした。
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櫻井朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。最近リノベマンションに引っ越したばかりなので、街だけでなく、室内の住環境を整えていくことにも興味津々。部屋中無印。