憧れの街で、暮らしてみない?東京都心で、長期滞在ができるホテルまとめ
気軽に住まう場所を変えられるのが、ホテル暮らしのメリットの一つ。そこで今回は、東京都心の人気の街にあるホテルをまとめました。賃貸であればなかなか住めないエリアで、暮らしを楽しんでみませんか。…
新しい暮らし方を実践している方々に話を伺うインタビュー企画。第5回はgoodroomの新サービス「goodroomホテルパス」を利用して、現在ホテル暮らしをされている、原田佳樹さんに話を伺いました。
text : ASAKO SAKURAI
今回話を聞かせていただいたのは、都内のベンチャー企業に勤める、原田佳樹さん。原田さんは1日に16時間以上も働いている、超ハードワーカー。現在は渋谷にあるオフィスから徒歩圏内にあるホテルで生活をしています。
新しいホテルができるとすぐに泊まりに行きたくなる、というほどホテル好きの原田さん。ホテル暮らしが始まった今も、毎月月末になると、別のホテルに宿泊し、1か月の振り返りをする時間を設けているのだそう。仕事と、自身の成長を第一に考える日々を過ごしています。
ホテル暮らしを始めて、もうすぐ5か月。ホテル暮らしへシフトしたきっかけや、暮らしの価値観などについて、伺ってみました。
新型コロナウイルスの影響で在宅ワークが広がりを見せる昨今ですが、基本的に平日は毎日オフィスに出社しているという原田さん。スピード感を持って事業を成長させられるように、社員と顔を合わせて話し合う時間を大切にしています。
原田さん:
「とにかく仕事に集中できる環境に身を置きたかったんです。そのため、洗濯や掃除などの家事の時間も、ソファでゴロゴロするようなリラックスをする時間も、自分には必要ない、と思っています」
元々引越しが好きで、2年に1度は部屋を変えていたのだそう。理由は、設備のグレードや家賃を上げて、「次のステージへ行く」ため。住み替えが、自身のモチベーションを上げるための手段の一つになっていたようです。
「サブスくらしを使う前に住んでいた部屋は、住み始めてから3年くらい経っていたんです。職場からも近い、1LDKの間取りでした。でもやっぱりリビングがあると、どうしてもダラダラと過ごす時間が生まれてしまうんですよね。
リビングもなくていい、家事をしなくていい”ホテル暮らし”こそが、今の自分にとっての最適解ではないかと思い、サービスを利用してみることにしたんです」
原田さんがホテル暮らしを始めるときに最初に選んだホテルは、丸の内線新宿御苑前駅から徒歩9分の場所にある、「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」。最上階にある本格的な温泉が人気で、注目を集めています。
原田さん:
「初めてのホテルを『由縁』に決めたのは、一度泊まったことがあり、イメージがつかめていたことが大きかったですね。また寝に帰ったり、仕事ができる環境が最低限整っていたりすることで十分だったので、広さは問わず12㎡くらいのコンパクトな部屋であったこと。とはいえ内装はビジネスホテルのようなシンプルな部屋ではなく、おしゃれさも求めていました。
そして何より、オフィスが渋谷と六本木にあるので、どちらにも電車で通いやすい、という点も重視していました」
様々なこだわりを全て叶えてくれるホテルだったそうですが、2か月ほどが経ち、より良い環境を求めて住み替えを検討し始めたといいます。
原田さん:
「初めは温泉があることにも惹かれてよく通っていたんですけれど、結局最上階まで行くのが億劫になってしまって、最後の方はあまり行かなかったんですよね。自分にとって、足を伸ばしてお風呂に浸かる時間というのは、それほど重要ではなかったのだと気づきました。
また『由縁』は最寄駅から徒歩9分、ターミナルの新宿駅までは20分ほどかかります。もっと通勤時間を減らしたいと考え、現在は渋谷のホテルへ移っています」
実際に生活してみることで得られた、様々な気づき。その度に不要なものをそぎ落として、より理想の暮らしへと近づいていく。賃貸生活ではなかなかできない、「住み替えに対するフットワークの軽さ」も、ホテル暮らしだからこそできることなのだな、と感じます。
原田さんの周りには、同じような働き方で仕事をしている人が多く集まっています。そのため、最近はホテル暮らしを始めたという人が増えているそうです。
原田さん:
「初めは周りからホテル暮らしをすることに疑問を持たれることも多かったのですが、そろそろ5か月も経つので、質問攻めにあうこともなくなりました。むしろ僕を見てメリットを感じた人が、ホテル暮らしを始めるケースも増えてきたんです。
例えばこれまで実家に住んでいて、1時間半くらいかけて職場に来ていた同僚は、現在渋谷のドミトリータイプのホテルで生活しています。初めての一人暮らしで、渋谷で物件を借りるというのはコスト面でも、なかなか難しいじゃないですか。それが実現できるのは、ホテル暮らしの良さですよね」
原田さん:
「他にも、賃貸で生活しているときより、生活費が抑えられることに対して魅力を感じている人もいます。僕自身も『由縁』にいたときは、賃貸に住んでいたころと比べて、3~4万円ほど生活費を下げられていました。
生活費が下がった主な理由は、ホテル暮らしになったことで使わなくなったサービスが増えたからです。これまで夜中でもお腹が空くと、すぐにUber Eatsを頼んでいたのですが、ホテルの入り口まで取りに行くのが面倒でやめました。Amazonなどのネットショッピングは、あまりに頻繁だと、受け取りをしていただくホテルの方に申し訳なくなってしまって(笑)。結果的に無駄な出費を抑えることにつながったような気がします」
一見賃料と比較して利用費の総額が高く見えるホテル暮らしですが、その中には水道光熱費や家事代行費、日用品の購入費などのすべてが含まれており、賃貸暮らしのときにかかっていた費用が不要になることもたくさんあります。
自身の出費の棚卸をすること。その上で仮にホテル暮らしにシフトしたら、どれだけ生活費を抑えられるのか。一度見直しをしてみることで、ホテル暮らしがグンと身近になる可能性もありそうです。
多くの方がホテル暮らしのデメリットとして例に挙げているのが、気軽に友人知人を部屋に招くことができなくなる、ということ。ましてパートナーがいる方にとっては、それだけでホテル暮らしを敬遠することに繋がりそうです。
しかし原田さんはパートナーとの関係性に、ある変化が生まれたといいます。
原田さん:
「賃貸で生活していたころは隔週くらいの頻度で、パートナーが僕の部屋に泊まりに来てくれていたんです。でもお互いに疲れていたりすると、翌日出かける予定があっても結局だらけてしまい、1日中部屋にいることも多くありました。
今はなかなか部屋に呼ぶことができないので、その分、外で会う機会が増えました。『次はあそこに行ってみよう』と、デートのパターンが増えたことは、いい刺激になっています。
何より出かけるときにどこかで、『待ち合わせ』をするようになったのはいいですね。部屋で会うことがなかなかできなくなったからこそ、お互いにいつも新鮮な気持ちで会うことができるようになった気がします」
賃貸暮らしとホテル暮らし。どちらも経験している原田さんに、今後もずっとホテル暮らしを続けてみたいか、と質問を投げかけてみました。すると……
原田さん:
「正直なことを言うと、いずれは賃貸に戻りたい、と思っています。
というのも、実はどうしても住んでみたい部屋が既に決まっているんです。僕がホテル暮らしをしているもう一つの理由は、その物件に空きが出た時に、すぐに動くことができるようにしておくため、でもあります」
確かにホテル暮らしのメリットは、「いつでも止められること」にもあります。急に住みたい部屋ができたとき、生活している中で不都合がでてきたとき、どうしても街になじめなかったとき……。
「一度住んだら、退去することが難しい」。そんな固定概念も、ホテル暮らしにはありません。
原田さん:
「さらに言うと、これまで長期間ホテル暮らしをしてみたことで、僕には賃貸が合っていたのかもしれないという気づきを得ることができました。
それは『自分の城を築きたい』という気持ち。
これまで持っていた家具は、人に譲ったり売ってしまったりするくらい間に合わせのものが多く、『家具なんて必要ない』って思っていたんですよ。でも本当は、好きなデザインの家具を揃えたり、植物を飾ったり、友人を呼んでホームパーティをしたりすることも、自分の中で大切なことだったんだと気づきました。
家事代行を頼んだりすることで、ホテル暮らしの再現性は賃貸でも保てそうかな、と思います。仕事のこともあるので、しばらくはホテル暮らしを続ける予定ですが、いつかのタイミングで賃貸に戻ろうかとも検討中です」
最後に原田さんから見て、どんな人にホテル暮らしが合うと思うのかを聞いてみました。
原田さん:
「洗濯や掃除、料理などの家事が面倒くさい、とにかく効率的に生きたい人にはすごくいいサービスですよね。生活のこだわりをカットしていくことで、仕事だけでなく何か夢中になれることに専念することができます。
ホテル暮らしって、何かの『準備期間』に利用するのがいいんだろうな、とも思うんです。僕のようにどうしても住みたい部屋があるときでもいいし、一人で部屋を借りる前段階でもいい。
いつでも始められて、いつでも止められる。だからこそ気軽な気持ちで、まずは『始めてみる』というのがいいんじゃないかな、と思います。自分の生活スタイルに合うか合わないかは、実際にやってみないと分からないですから」
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ずっと自身にとって”無駄”と思っていたことが、実はとても大切なものだということに気づけた原田さん。それは生活スタイルをガラリと変えたからこそ、得られたものなのでしょう。
理想の暮らしは人によって違います。だからこそ、凝り固まっている既成概念で縛られずに、まずは飛び込んで体験してみることの大切さを、今回は教えていただいたような気がしました。
写真提供:原田佳樹
櫻井朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。最近リノベマンションに引っ越したばかりなので、街だけでなく、室内の住環境を整えていくことにも興味津々。部屋中無印。