「間取り図から想像し、癒されていた」上京の部屋
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。 今回は、今年の4月に上京、建築系の書籍を扱う会社にお勤めの、楠田さんのお部屋を訪問。大山さん、趣味が近いせいで「もしかしてここ、ぼくの部屋だったかもしれない」なんて言っちゃってます。…
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
第5回は、今年4月から不動産関係の会社で働き始めた、石井さんのお部屋を訪問。忙しい毎日でもすっきり暮らしている彼女にお話を伺いました。
(編集部)
今回おじゃましたのは渋谷区にある石井さんの部屋。新宿駅まで2駅という都心にお住まいです。べんり! そして恒例の「平面図写真」でご覧いただければ分かるように、南向きで陽当たりがすごくいい。すてき!って、いつになくふつうにお部屋紹介的な内容ではじめていますが、なぜかというと今回本連載初めての女性のひとり暮らしで緊張してるから。
といってもご覧の通り、部屋を見る限り以前うかがったIさん(男性)の部屋と見比べて、ことさら女性っぽいというわけではないんですが。というかIさんの部屋はあまりにもかわいらしかった。
とにかくぼくの人生にひとり暮らしの女性の部屋に入るというイベントはそれほどなかったので、仕事とはいえ緊張したわけです。でも、お話聞くうちに石井さんは僭越ながら「仲間だ!」って思って緊張どころではなくなったので、その話をしようと思う。
さっそくいつもの「たくさんあるものを並べる」をお願いしたところ、旅先で買ったマグネットを出してくれました。
—あー、なんかなつかしい。こういうのありますよね。コレクションなんですか?
「いえ、なんとなく…」
最初に行った国で何となく買って以降、なんとなく「マグネット縛り」で買い続けているだけだそうだ。べつにコレクターだとかそういうわけでもなく、強い思い入れがあるわけでもないとのこと。なにせ「買ってきてから一度も開けてないです」と、目の前で各国のお土産屋の袋の封を切る始末。この平熱の感じすごくすてき!
そういえばぼくも会社員時代に、各国の歯ブラシを集めてた。いや、集めてたというか集まっちゃった。きっかけは、1998年になぜかセブンイレブンが有名なデザイナーであるフィリップ=スタルクに歯ブラシをデザインさせて売り始めたこと。なんだこれ、と思って買ってオフィスのパーテーションにピンで留めてた。そうしたら同僚たちが「大山くんって歯ブラシ集めてるの?」って勘違いして海外出張や旅行に行くたびにお土産に歯ブラシを買ってくるようになった。煽られて、興味ないはずなのに自分でも変な歯ブラシ見つけるたびに買うようになっちゃった。
旅行のお土産って選ぶの悩むけど「あいつには歯ブラシ買っていけばいい」って決めちゃうことでみんなすごく楽になったんだと思う。安いし、軽いし、どこにでも売ってるし、それにけっこうバリエーションがあっておもしろい。一時期ぼくのデスクの前が歯ブラシ祭みたいになっちゃって、上司に「それいいかげんどうにかしろ」と怒られたっけ。
なにが言いたいかというと「なんとなく」で集まっちゃう、っていうことはあるし、それがけっこうおもしろかったりする、ということだ。で、石井さんの「なんとなくマグネット」を見て、この女性はすてきな人だ!って思ったのです。こういう褒められ方しても嬉しくないかもしれないけどー。
「なんとなく」とはおっしゃるものの、ご覧の通りすごく整頓された余計なものがないきれいな部屋(毎回言ってるけど、ほんとみなさんものが少なくてうらやましい! ぼくの部屋になんざこれの100倍ぐらいものが溢れてるよ!)のなか、未開封とはいえマグネットがちゃんとしまわれていたのだから、やっぱり大事なものであるのは間違いない。でも「熱意」と「行為」はかならずしもセットじゃない。「なんとなく」で集めちゃって大事にしちゃうこともある。そういうの、いいなあ。
それにしても石井さん世界中回ってるな! とびっくり。しかもかなり興味をそそられるところに。マグネットに記されている都市名を見ると、「ヴェネツィア」「ペナン島」「ドバイ」あたりはふつうだけど「ザグレブ(クロアチア)」「ホッローケー(ハンガリー)」「スピシュスキー城(スロバキア)」って。いいな! ぼくも行きたい!
このように、旅行が趣味だという石井さんだが、最近は出かけることができないでいる。というものも今年社会人1年目で仕事が忙しいから。これらの国々は学生時代に旅した街だということだ。わかるよー。勤め出すと旅行行けないよねー。でもねー、フリーになったら時間が自由にできるかというとそんなこともないんだよー。
で、なんで「仲間だ!」って思ったかというと、石井さんは建築を勉強していて、その卒業設計が大阪の高速道路高架下の水路沿いに集合住宅を提案する、というものだったから。そうなのだ。ぼくも、いつも取材に同行している編集の田村さんも高架下好き・都市河川好きなのだ。水路を船で行くイベントやったりしてるし、ぼくは「高架下建築」なんていう写真集も出している。石井さん仲良くなれそう!
「こういう都市の中の水辺を活かす提案をしてみたくて」
—いいですね! すごくすてき! わかる!(←興奮)
現在は不動産関連の仕事に就いている石井さん。建築設計の仕事はしないんですか?と聞くと「もっと才能ある人がやったほうがいいなー、と思って…」とご謙遜。いやいや、作ろうよ! 高架下の水辺に!見てみたいよ!
良い感じに陽が差し込む整頓されたシンプルな部屋で、ふと思ったのは「石井さんはきっと別の場所に行くんだろうなー」ということ。それは時間を見つけて旅に出る、ということだけではなくて、やっぱり建築の仕事をする! となって転職して、それに伴って部屋も引っ越すんじゃないか、ということ。もちろんこの部屋は賃貸物件なので当然いつか引っ越すのだけれど、なんというか、ちょっと照れくさい言い方をすると石井さんはまだまだ旅の途中であり、このすてきな部屋は「宿」なのだなあ、と思ったのだ。お、なんかぼく良いこと言ったぞ。
旅は「ゆきて帰りし」だが、実は帰る「ホーム」もまたかりそめのもの。就職したばかりなのになんか転職をけしかける締めくくりになって恐縮だが、これからの石井さんの「旅」がたのしみです。マグネットを持って、ね。
大山 顕
写真と文:大山 顕
“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
Twitter (@sohsai)/Facebook
(最後にもう一度編集部から)
グッドルームのオリジナルリノベーション「TOMOS」のお部屋は、東京・大阪・名古屋・福岡で、毎月10~20部屋登場します。社員も気に入って住んでいる者が多い、無垢フローリングの居心地のよい空間を体験してみてくださいね。
>東京・神奈川・埼玉・千葉のTOMOSのお部屋一覧へ
>大阪・神戸・京都のTOMOSのお部屋一覧へ
>名古屋のTOMOSのお部屋一覧へ
>福岡のTOMOSのお部屋一覧へ