TOMOS リモートワークに徹する
1R(25.23㎡)
旬の野菜を全国へお届けしている京都の会社「坂ノ途中」スタッフの、「おいしい暮らし」をつづる連載。第5回は前回につづき、保存食作り大好きの私・松田明日香が、干し野菜の作りかたについてお話しします。
Text by Asuka Matsuda from 坂ノ途中
家庭菜園で思いもよらないほど収穫できたり、仕事や所用で外食がつづいてしまったり、野菜のいただきものがあったり……。野菜が余ってしまったときは、干し野菜を作ってみませんか?
野菜は干すことで旨みや甘みがぐんと増し、保存性も高まります。その美味しさを知ったら、余り野菜といわずどんどん干してしまうかも。日当たりの良い室内やベランダで、手軽に作ることができますよ。
干し野菜の基本は「切って干す」。
野菜を切って、日当たりと風通しの良い場所で干すだけです。
作りやすいのは気温が高く水分が早く蒸発する真夏、湿気の少ない秋から冬。
干す期間は季節や野菜によりますが半日~1週間ほど。
表面が乾き中は水分が残っている「半干し」の状態からしっかり乾いた状態まで、好みの干し具合で調節してください。半日干すだけでも食感には違いが生まれ、味わいが増します。
保存は密閉容器やジップタイプの袋で。触った感じがまだしっとりしている半干しなら5日ほど、完全に水分が抜けるまで乾燥させれば1か月ほど保存できます。
スライサーを使って薄切りや千切りにし、キッチンペーパーで水気をとって干します。炒めものやピクルスに使いたければ、厚み1cmぐらいのいちょう切りにしてみても。
半干しは半日~2日ほど、水分がしっかり抜けて、いわゆる切り干し大根になるまでは3日~1週間ほどです。
美味しい食べかた(半干しはそのまま、しっかり乾いたものは水で20分ほど戻して使います)
・おあげと一緒に甘辛煮に
・お味噌汁、スープの具に
・トマトとあわせて洋風煮に
保存の目安
半干しは冷蔵で約5日
しっかり乾いた状態で、冷蔵で約2週間、冷凍で約1か月
だいこんより水分が少ないため、1~2日でもかなり乾いた状態になります。
野菜のなかでもにんじんはとくに、干すと甘みが強くなりますよ。
美味しい食べかた
・そのままおやつに
・お味噌汁、スープ、炊き込みご飯の具に
・太めに切って干したものを浅漬けに
保存の目安
半干しは冷蔵で約5日
しっかり乾いた状態で、冷蔵で約2週間、冷凍で約1か月
かぶは串切りにして半日ほど干すのがおすすめ。表面に薄く膜が張ったらOKです。
水分がまだ残っているので、早めに食べるようにしてください。
美味しい食べかた
・オリーブオイルと塩で和え、フライパンでじっくりソテー
・炒めものに
・ピクルスに
保存の目安
冷蔵で約5日
水分が完全に抜けるまで乾燥させれば、だいこんやにんじん同様2週間程度保存できます
半分に切って切り口を上にします。ペーパータオルで切り口の水気を軽く拭き、3~5日干してセミドライに。ほどよく水分が抜けると、皮にしわが寄り、切り口がくぼんで膜がはります。
ローズマリーなどのハーブも一緒に干し、刻んだにんにく、塩とオリーブオイルに漬けこむと、より長く保存できるようになります。
美味しい食べかた
・そのままおやつに
・ミートソースなどの煮込み料理に
・オイル漬けをパスタやサラダに
保存の目安
冷蔵で約1週間。オイル漬けは冷蔵で約1か月
しいたけ、マッシュルーム、まいたけ、しめじ、えのきなどで作れます。
しめじのような株付きのものは石づきを落としほぐして。しいたけやマッシュルームはそのままでも干せますが、スライスしたほうが乾燥が早いです。
お料理に使うときは戻し水もおだしとして活用してくださいね。きのこの旨味たっぷりです。ミニトマト同様、オイル漬けにしても美味しいです。
美味しい食べかた(しっかり干したものは、水で20分ほど戻して使います)
・スープや炊き込みご飯の具に
・マリネに
・オイル漬けをパスタに
保存の目安
しっかり乾いた状態で冷蔵で約2週間、オイル漬けは約1か月
干し野菜を作るときの道具はこちら。ホームセンターや100円ショップで揃えることができます。
ベランダや軒下に干すときは、野菜が風で飛ばされたり、虫やほこりがついたりするのを防げる干し網が便利です。
干し網がなければ、洗濯ネットなどの覆いをかけたざるを洗濯用品の平干しネットやピンチハンガーに載せて干すこともできます。
室内の日当たりの良い場所に干すなら、ざるだけ用意すれば大丈夫。重ならないよう並べたほうがムラなくよく乾くので、平たいざるを選びましょう。
キッチンペーパーや新聞紙を敷くと野菜がくっついてしまうので、ざるにじかに置いてください。
洗濯用品のピンチハンガーも、白菜の葉を一枚ずつ吊るして干したり、干し柿を作るのに使えます。
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干し野菜はとっても簡単。道具も揃えやすいです。
気を付けるのはカビ。水分の多いお野菜でつくるとき、厚め・大きめに切ったときはとくに注意してください。雨や曇りの多い季節も避けたほうが良いです。
夜露もカビの原因になるので、数日かけて干すときは夜は冷蔵庫に入れ、翌朝また出すようにしましょう。
ご紹介した野菜のほか、かぼちゃ、れんこん、玉ねぎ、白菜なども、干すとぎゅっと旨みが凝縮します。どれも干し野菜用の特別なレシピでなくても、いつもの煮物やお味噌汁、スープに入れるだけで美味しく食べられますよ。
野菜の深い味わいを楽しめる「干し野菜」、ぜひ試してみてくださいね。
株式会社坂ノ途中
「100年先もつづく、農業を。」をコンセプトに、農薬や化学肥料に頼らず育てられた農産物を販売。約300件の提携農家から野菜を仕入れ、全国へ宅配している。自社農場「やまのあいだファーム」の運営や、アジアのスペシャリティコーヒー「海ノ向こうコーヒー」の販売も行う。
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松田明日香
松田明日香|マーケター
1日3食コンビニ、の仕事生活に疑問をもったことがきっかけで坂ノ途中と出会う。
OnlineShopの運営や販促企画など、坂ノ途中の野菜を知ってもらうためのあれこれを担当。現在は育休中で、育児に奮闘している。好きな野菜はすずかぼちゃ。趣味は手の込んだ保存食を作ること。定期宅配歴6年目突入。