珈琲の香りで迎える朝
1R(37.4㎡)
自分が自分らしくいられるように、心地よく暮らせる街は自分で選ぼう。32回目にご紹介する街は、「藤沢」。少し騒がしい駅前からは想像できない、藤沢の知られざる魅力を見つけることができました。
text : ASAKO SAKURAI
goodroomのスタッフが住んで本当に良かった街を紹介する連載。32回目にご紹介するのは、神奈川県の「藤沢」です。
藤沢駅は、JR東海道線や湘南新宿ライン、小田急線、江ノ島電鉄線の走る街。東海道線を使えば新橋駅まで43分、湘南新宿ラインで新宿駅まで50分。江ノ島電鉄を使えば江ノ島や鎌倉方面への観光にも使えます。
都心へのアクセスの良さと適度な自然、大型のショッピングモールがいくつもあるということもあって、ファミリーのみならず、幅広い世代の「郊外型の暮らし」を叶えてくれる街として人気です。
でも実はわたし、藤沢には「郊外にあるけれど、どこか都会っぽい」イメージを持っていたのです。そのイメージは今回の取材で、いい意味で崩れました。藤沢市全域を巡ってきましたので、その様子をレポートします。
1日の乗降客数は、なんと40万人もいるという藤沢駅。駅の周辺は大きなビル群がいくつも建っています。
「なんでもある」といっても、東京都心のターミナル駅のようにあちこちを縦横無尽に周らなくとも、施設が駅前にぎゅっとつまっているので、時間を効率的に使って買い物ができるのもいいところ。駅直結でペデストリアンデッキがあるので、信号待ちをせずに様々な施設に行けます。
また学習塾が多いことも特徴です。
藤沢市は小中学校だけでなく、慶応大学の湘南藤沢キャンパスなどもあるため、文教地区としても知られています。これだけ駅前に学習塾が多いところを見ると、ファミリー世帯も多く、子どもへの教育に熱心な家庭が多いこともうかがえます。
北口を少し歩いたところには、湘南のローカルラジオ局「レディオ湘南」もありました。
つづいて、小田急江ノ島線で藤沢駅からひとつお隣の「藤沢本町駅」へ足を運んでみることに。
ここで、素敵なお店に巡り合いました。その名も「プチマルシェYUU(よっしーのお芋屋さん)」。
よっしーさんは、さつま芋を販売をされる前には必ず農家さんの畑へ行くことにしているといいます。そうして本当に美味しいもの、よっしーさんが納得したものをここで販売をしています。お客さんが日本の農業の素晴らしさを知るきっかけになれば、という願いを込めて。
なんといっても有名なのは、よっしーさんの「焼き芋」です。
紅はるか、ホワイトスイート、安納芋など、様々な品種の芋はよっしーさんの手にかかれば、美味しさを引き出された形で、焼き芋となって生まれ変わるようです。焼き芋はもちろん、お野菜や入手困難な調味料を求めてこの場所をこの場所を訪れる方も多いそう。
しかも意外だったのが、藤沢市内で作られたお野菜や山の幸が多いということ。わたしの中にあった「藤沢といえば海」という藤沢のイメージが少しずつ変わっていく瞬間です。
「藤沢はイベントごとが多いので、飲食店の方同士がつながりやすいんですよね。ライバルでもあり、友人、仲間でもある。とっても“人”がいいエリアだと思います。まさに作物も人も宝庫、といえるんじゃないですかね」
漢字で「芋」と書かれたキャップを被り、大柄な体格のよっしーさん。それでも、近所の子ども連れの家族が来れば、野菜一つ一つから、その野菜を使った美味しいレシピまで紹介したり、杖をついたご老人が来れば、腰をかがめて丁寧に商品を渡したり。
「農家さんが丹精込めて作った畑あってこそ、僕らは毎日野菜が食べられるんだ」という誠意ある気持ちがしっかり伝わるような、そんな応対をされていたのがとても印象的でした。
地元の新鮮なお野菜で食事を楽しみたい方や、気持ちまでほっこりする焼き芋に出会いに、ぜひ足を運んでほしいお店です。
さあ、ほかにもあるある、藤沢の魅力。
藤沢駅と藤沢本町駅の間にある人気のカフェ「3+3cafe」は、藤沢の公民館としての役割を持つFプレイスの最上階にあります。
最上階ということもあり、テラス席もおすすめ。藤沢市内の街並みや、江ノ島方面も見渡すことができるんです。
藤沢野菜や鎌倉野菜、というブランド野菜を、新鮮な状態でいただける飲食店が多数あるのも、この地域ならではの特徴といえるでしょう。
藤沢駅から東海道線で1駅。お隣辻堂駅から直結の大型ショッピングモール「テラスモール湘南」は、平日でも多くの人がいます。
コスメ、ファッション、飲食店、日用品……。都内でも人気のショップが数多くはいっているため、ここで大体の買い物は事足りてしまいます。休日は家族連れやデートで訪れてもいいですね。
駅から小田急江ノ島線の本鵠沼駅から歩けば、周辺の住宅街を散策しながらちょっとしたお散歩気分も味わえます。
日ごろ忙しく過ごしている方にとっては、リフレッシュできる絶好のスポットです。
最後にご紹介したいのは、やっぱり海。夕方頃に訪れた藤沢の海では、サーフィンを楽しむ方だけではなく、部活の練習をする青年たち、夕日の撮影を楽しむ若い女性のグループ、手をつなぎゆっくりと過ごす家族連れ……。本当に多くの人が、1日の終わりの時間をこの海のそばで過ごしていました。
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藤沢には、アクセスが良く便利な施設が多い分、どこか都会のターミナル駅のようなごちゃごちゃしていて騒がしいイメージがどうしてもありました。
でも周辺を巡ってみると、海や山、畑などの程よい自然、広大な敷地を存分に使ったセンスのいい大きなショッピング施設、人とのつながりを大切にする優しい人柄。どこをとっても、ギスギスしていない、本当の藤沢が少しだけ見えたような気がします。
都会でぎゅっと小さくなった心を、少しだけほどきたくなったら。ここでなら、心のゆとりを持った毎日が送れそうな気がするのです。
・駅周辺には、買い物スポットが沢山あるので、わざわざ駅から遠くに足を運ぶ必要はないです。駅周辺で全て完結します。
・全体的に落ち着いている雰囲気で、静かにのんびりとした生活のできる地域です。神社や公園も多くあるので、お散歩をするのが楽しいと思います。
・バスの本数が少なく、終バスが早いので、時間に要注意です。駅からの道のりは坂も多いため、自転車はあまりオススメはできません。
・子供が遊びやすい公園が多いこと、学校や市民センターなど、各季節ごとに様々なイベント(お祭り)がおこなわれています。
利用可能な沿線:JR東海道線、湘南新宿ライン、小田急線、江ノ島電鉄線
家賃相場:ワンルーム・1K・1DK/6.59万円、1LDK・2K・2DK/9.38万円、2LDK・3K・3DK/10.31万円
物価の高さ:★★★☆☆
治安の良さ:★★★★☆
子育て環境の良さ:★★★★★
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櫻井朝子
三宅朝子
goodroom journal 編集部所属。ライター、バーのママなど、いろんなことをしています。行ったことのない街に降り立つととにかく興奮する、街歩き大好き人間。最近リノベマンションに引っ越したばかりなので、街だけでなく、室内の住環境を整えていくことにも興味津々。部屋中無印。