こんにちは、ライターの渡辺平日と申します。休日はもっぱら日用品の研究と町歩きをしています。この連載では、個人的に好きな町や住みたい町を、商店街を中心にじっくりと這うように案内していきます。
今回は川崎市中原区の武蔵新城を散策しました。もとはのどかな農村だったエリアですが、昭和の初めごろに南武鉄道(現在の南武線)が開通したことをきっかけに、住宅街化が急速に進んだそうです。
人口増加に伴う形で商店街も次々に誕生し、現在、武蔵新城には9つの通りがあります。9つ……。ちょっとビックリしてしまう数ですね。ふつう、商店街というと〈線〉のイメージですが、武蔵新城の場合は〈面〉という感じ。「どこをどう歩いても通りにぶつかる」と言っても過言ではありません。
ターミナルステーションへのアクセス◎
そんな買い物に便利な武蔵新城エリア。近年は交通利便性の良さでも注目されています。
駅には川崎駅と立川駅を結ぶ南武線が乗り入れていて、東急東横線や東急目黒線などが利用できる武蔵小杉駅までは約5分。一度そこまで出てしまえば、渋谷や横浜、目黒方面など、都心へ楽々アクセスできます。また、武蔵溝ノ口駅までは約3分。そこから徒歩で溝の口駅へ向かえば、大井町や二子玉川などへもスムーズに移動可能です。
移動の便利さが評価され、都心からの移住者も多いそう。一日の平均乗車人員も増加傾向にあります。
まずは駅の周りをブラブラ
商店街が気になるところですが、ちょっと我慢して、まずは駅の周りを散策することにしましょう。
駅周辺には飲食店や居酒屋が点在しています。このまま真っ直ぐ行くと武蔵小杉に着きます。
クルッと反転して、溝の口方面へ向かって歩いてみます。
駅からすぐのところに西友があります。日用品や医薬品、服飾品のコーナーは23時まで、食品や惣菜のコーナーはなんと24時間営業しています。特に帰宅が遅くなりがちな方や、夜勤が多い方にとっては強い味方になってくれそうですね。加えて、ビーンズ武蔵新城という駅直結の商業施設もあるので、基本的な買い物には不便しそうにありません。
商店街に吸い込まれました
テクテクと大通りを歩いていたら、引力を感じる商店街を発見。〈西通り商店会〉というそうです。やはり、どこを歩いても通りにぶつかる……。
間違いない佇まいの中華料理屋。休憩中と思われるサラリーマンの方々がどんどん吸い込まれていました。ところで、黄色いのぼりを見て気づいたんですが、サンマー麺ってこの辺りのご当地料理なんですね。
商店街からシームレスに住宅街に移行。公園もあって落ち着いているし、この辺りはかなり住みやすそうだなあ。
さてこのエリア。ふつうの住宅街なのですが、なぜか面白そうな店舗がたくさんあります。
公園の近くで真っ黄色の建物を発見。このエリアで有名なアクアショップだそうです。
ロゴやイラストの配置が絶妙で超おしゃれ。オーナーさんの趣味でしょうか?
ほかにもこういう可愛らしいパティスリーや、
神奈川の地酒を販売しているショップ、
隠れ家感のあるとんかつ屋など、いろいろなお店があります。残念ながらすべてお休みだったので、日を改めて再訪したいところ。
そんなこんなで駅前まで戻ってきました。
それにしても、ほんとうに飲食店が多いです。選択肢が豊富すぎて、逆に悩んでしまいそう。
けっこう町歩きを楽しんでしまいましたが、これはまだまだ序の口。なんといっても、あと8つも商店街があるわけですから。さすがにすべてを紹介するのは難しいので、厳選して商店街の様子を見ていきたいと思います。
北口を散策しました
北口側には3つの商店街があります。今回はそのひとつの〈新城北口はってん会〉にやってきました。約50店舗が加盟している通りで、夏には夜市、冬には餅つき大会が開かれるそう。個人経営の店舗が多めで、他の通りよりも静かで落ち着いているという印象。
川崎市内の食材や素材にこだわったカフェ〈新城テラス〉。地域住民の憩いの場になっています。
気になるお店を発見。なんのお店なんだろう……(占い屋でした)。
お気に入りの喫茶店〈すなどけい〉。昭和50年から営業している老舗です。コーヒーメニューが非常に充実していて、いつもどれを頼むか迷ってしまいます。
食事メニューにも力が入っています。23時までと遅くまで営業しているから、仕事終わりにゆっくり寛ぐのもよさそう。あと、webサイトがレトロで超かわいいので、興味がある方は調べてみてください(特にすなどけい事件簿というコーナーが最高)。
南口を散策しました
次に南口を見てみましょう。バスロータリーやタクシー乗り場などがあり、開けた印象です。
南口側でいちばん栄えているのが〈武蔵新城あいもーる〉というアーケード商店街です。ちょっと散歩してみましょう。
入り口に不二家があるの、なんかいいですね。テンションが上がりそう。
全体的に飲食店が多いのですが、薬局や100円ショップなど生活用品を扱っているお店も豊富。
こういう昔ながらのお店も点在しています。
ここでは大好物の落花糖を購入。探せばスーパーなどでも買えますが、こういうお店で買うとより美味しく感じます。
通りの一番奥に、鮮魚店や精肉店、服飾店などが一緒になった〈丸新ストア〉というマーケットもあります。
レトロな喫茶店でコーヒーブレイク
武蔵新城に来ると必ずこの〈カフェテラス V〉に寄るのですが、あいにくこの日は定休日……。全体的に間が悪いですね、どうも。
なので、その近くにある〈喫茶店 男爵〉というお店で休憩することにしました。ここも前から気になってたんです。
うお~! めちゃくちゃ渋いですねえ。
ありきたりな表現ですが、ほんとうに時間が止まったような、とてもレトロで素敵な空間でした。本を読んだり、同僚と談笑したり、打ち合わせしたり……。それぞれが思い思いの時間をすごしていました。
この日は非常に寒かったのでホットコーヒーを注文。ゆっくりと休んだおかげで気力も満タンになりました。
ゆうゆう通りをテクテク
最後に紹介するのは〈ゆうゆう通り〉。武蔵新城にある商店街のなかでは、ここが一番好きです。なにか特別なものがあるというわけではないのですが、なんとなく親密感を抱いています(写真を見返すと、地元の商店街に似ているなあと思いました。それが好きな理由かも)。
超キュートなドッグサロン。
青果店も元気に営業しています。
ここ、日用品好きとしてかなり気になっているのですが、まだ一度も探訪できていません。どんな感じなんだろう。
レトロな個人経営店が軒を並べます。
地域密着型の米専門店。昭和の終わり頃から営業しているそうです。ゆうゆう通りオリジナル?のマットが可愛い。
このお店の名物はハニーミルクを使用した大判焼き。クリーム味をひとつ購入して食べましたが、なんとも優しい味でした。
散策を楽しんでいたら日が暮れてきたので取材終了。うーん、実に町歩きが楽しい町でした。さて、続いては恒例のお部屋紹介のコーナー……と行きたいところですが、あいにく、取材済みのお部屋があまりありませんでした。
紹介は一部屋だけですが、家賃相場などの参考にしてみてくださいね。ちなみに、アプリで紹介しているお部屋以外にも案内可能ですので、気になった方はお気軽にお問い合わせください。
町と溶け合うように暮らす(1K/19㎡/6.2万円)
駅まで約3分&南向きでこの賃料はなかなかリーズナブルではないでしょうか。あと、このマンションの1F部分に〈PASAR BASE〉という共用スペースがあって、地域のイベントなどに利用されているようです。「町の企画やイベントに積極的に参加したい!」という方にはかなりおすすめかと。ちなみに、先ほど紹介した新城テラスも同じ建物に入っています。
さいごに
住む町を決めるポイントは人それぞれですが、個人的には〈飲食店の充実具合〉をかなり重視しています。そういう観点で見たとき、武蔵新城は間違いなく満点でしょう。歩いているときに飲食店の数を数えていたのですが、80を超えた辺りで(こりゃとても無理だ)と思って諦めました。いったい、ぜんぶで何店舗くらいあるのでしょうか?
「きょうはどこへ食べにいく?」
「そうだなあ、ゆうゆう通りのあのイタリアンバルはどう?」
友人やパートナーと一緒に、気になったお店を巡るのもよさそうだなあ。どこか遠くに行かなくても、十分楽しめそうです。
大判焼きを食べながら〈武蔵新城サンモール〉をブラブラ。ぜひ、お気に入りの商店街を探してみてください。