デザイン学入門
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国際的に作品を発表し続けてきたクリスチャン・ボルタンスキーの展覧会が六本木「国立新美術館」にて開催されています。日本で過去最大規模の回顧展。ぜひこの機会に足を運んでみてください。
アイキャッチ画像:《ミステリオス》 2017 / ビデオプロジェクション(HD、約12 時間)、3 面のスクリーン / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo © Angelika Markul
text : ASAKO MIYAKE
1970年代から国際的な活動を続けてきたボルタンスキーは、日本でもこれまで「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」に参加し、継続的に作品を発表してきました。現代アートを鑑賞することが好きな方は、どこかで彼の作品を見たことがある方もいるかもしれません。
日本における個展は、これまでICA, Nagoyaと水戸芸術館(1990–91年)、および東京都庭園美術館(2016年)で開催されています。今回の展覧会は、ボルタンスキーの50年間の活動をたどる、日本で過去最大規模の回顧展です。
ボルタンスキーは、集団や個人の記憶、そして宗教や死を主題として作品を制作してきており、その表現は多岐にわたります。1960年代後半に映像を使った創作活動を開始し、その後写真、書籍、日用品といった多様なメディアを用いた作品を展開。近年では、人々が語り継ぐことをテーマとし、形として残らない作品にも取り組んでいます。最新作を含む47点の出品作によって、その多様な作品世界をご紹介します。
「空間のアーティスト」と自らを形容するボルタンスキーは、「展覧会をひとつの作品のように見せる」と語っています。
本展は、初期作品から最新作までを時代順に紹介するのではなく、個々の作品を組み合わせ、一つの大きなインスタレーションとして構成されています。会場で配布するマップを片手に、ぜひボルタンスキーの世界観にどっぷりとつかりながら、鑑賞してみてください。
古着で壁を埋める本作品は、最初にカナダで制作されました。《保存室(カナダ)》というタイトルは、存在が消えてしまうこと、そしてその記憶を留めることの必要性を暗に示しています。床から天井まで隈無く吊り下げられた衣服は、今は不在となった人間の痕跡を想像させます。ボルタンスキーは大量の古着を吊るすことで、そのおびただしい数の個人の存在を浮かび上がらせるのです。
本作品は、2015年にサン・パウロで初めて発表されました。本展では、電球が毎日3つずつ消え、会期最終日にはすべての電球が消えることになります。段階的に消えていく電球は、人生において死が必ず訪れるものであることを示しているのです。
ぼた山とは、炭鉱の採掘の際に出る捨て石を積み上げた山のこと。ボルタンスキーは、2015年にこの作品をベルギーのグラン=オルニュ(1810年に建造された旧ボリナージュ炭坑複合施設)で展示するために制作しました。大量の黒い衣服が積み重なってできた山は、炭鉱で働いた多くの人々の存在を象徴すると同時に、その個性と思い出がはかなく消えてしまうことをも暗示しています。
会期:2019年6月12日(水)~9月2日(月)
場所:国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)
https://boltanski2019.exhibit.jp
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