TOMOS リモートワークに徹する
1R(25.23㎡)
「団地」の価値を見直し蘇らせる再生プロジェクトが、全国で始まっています。「いま、団地に暮らすってどんな感じなんだろう?」リアルに団地に暮らすひとびと、団地に関わるひとびとにお話を聞きます。
団地家の吉永健一さんにお話を聞く「団地住まい予備軍のあなたへ」は今回が最終回。全10回の連載ですっかり団地に住みたくなってしまったひとのために、実際に団地の部屋を借りるにあたってのポイントをまとめてもらいました。
text & photo : Kenichi Yoshinaga
1年にわたり、団地や団地住まいの魅力を伝え続けてきました。この連載を読んで、団地に住んでみようかなぁと考えるようになった方もいると思います。そこで今回は、団地住まいデビューまでの流れの中で、知っておくとよいことをまとめてみました。
まずは団地の探し方です。
一般的なアパートやマンションの場合は、不動産のポータルサイトで検索したり、住みたいエリアの不動産屋で探すと思います。では団地はどうでしょう。
最も手軽なのは団地を運営しているUR都市機構、公社住宅などのホームページから探すことです。URでは家賃や広さ、路線など入力すれば空き住戸が検索されるようになっています。内覧の仮予約もできる場合があり、夜にしか時間が取れない人にはおすすめです。
時間がある人におすすめなのは、URや公社の営業所・案内所に行って調べることです。ホームページの情報はどうしてもタイムラグがあります。ホームページに載っているけどすでに抑えられていたり、載っていないけど実は空いていたり。その点営業所は、リアルタイムに最新の空き情報を把握しているのでより正確です。職員があなたの収入や暮らし方、家族に合わせて部屋やお得な制度を教えてくれるので一度足を運んでみると良いでしょう。
これらの営業所のいいところはいい意味で商売っ気が無いことです。「この部屋は人気があるのでいますぐ契約した方がいい」と迫られる、などということがないので安心です。窓口は女性職員が多いので女性の方も気楽に相談できるのではないでしょうか。
意中の団地に空きが出たら、仮予約をします。
仮予約は営業所で直接手続きするか、あるいは電話で行いますが、ホームページ行える場合もあります。仮予約をしたお部屋を内覧し、気に入ったら契約そして引越し、団地住まいデビューとなります。
ところが人気の団地はなかなか空きませんし、空いてもすぐ埋まってしまいます。そのため営業所に毎日電話をかけたり、ホームページの前に一日中張り付く人もいますが、仕事をしていると難しいですね。そんなときに利用すると良いのがまちの不動産屋さんです。お願いしておけば、あなたに代わって空き情報の監視をして、空きがあれば仮押さえをしてくれます。多くの場合は料金はかかりません。不動産屋によっては扱っていないところもあります。見分け方はURの場合は店頭にUR賃貸住宅をあっせんを扱っている旨のステッカーが貼っているかどうかです。意中の団地になかなか空きがなさそうな場合は利用するとよいでしょう。
内覧は、仮予約したお部屋が住みよいか確認するためのものですが、この団地が住みよいかも確認できる機会でもあります。とはいえ、1時間くらいで普段の雰囲気を把握するのは難しいものです。
そんなとき助けになるのが、団地の掲示板です。掲示板を見えればその団地で何が起こっているのか、何が話題なのかがわかります。マナーについての貼り紙や、注意喚起の張り紙が多いところは注意した方がいいでしょうし、楽しげなイベントの貼り紙があれば、住民は楽しく暮らしてるのだなとわかります。掲示板は集会室や階段、人の通りが多い道沿いにあります。
最近はURの物件ページの「住まいリポート」で周辺情報と大まかな雰囲気を知ることが出来ます。OURS.など団地暮らしのよさを紹介しているサイトもいくつかあります。団地不動産でも住み団インタビューのコーナーで紹介しています。やはり実際住んでいる人の話は参考になります。
団地に入居するには、収入がいくらあるかで入居資格があるかないかが決まってきます。
公営住宅の場合は収入が基準額より低い人に入居資格がありますが、URや公社の場合、基準額以上であることが入居資格となります。
URの場合、具体的には「入居しようと思う部屋の家賃の4倍の平均月収(昨年度)」がある必要があります。
では、家賃を払うのに十分な貯金があるのに平均月収は基準を満たないとか、収入が上下するので基準を満たさない年があるという方はどうしたらいいのでしょう。
URの場合、家賃を年払いすること、もしくは貯金が家賃の100倍あれば、平均月収は問われません。自営業のように収入が安定していない人や、退職して貯金はあるけど収入がない人のための制度です。また、同居人で収入を合算できることがあります。家族であることやシェアリングを前提とした部屋の場合には使える制度です。
来年度から働きはじめるけど今は学生という方や転職するので収入が変わるという方は就職先の収入見込みを証明できる書類を提出すれば大丈夫です。また、収入額の証明は入居契約時のみでOKで、入居後は必要ありません。
この収入要件については、いざ契約というときに「おや?」とならないように気をつけておきましょう。不安なときは前もって営業所と相談しておくのが確実です。
さて、「団地住まい予備軍のあなたへ。」は今回で最終回となります。この連載を参考に多くの人が団地住まいデビューしてもらえるとうれしく思います。1年間ありがとうございました。
吉永健一
吉永健一
団地に取り憑かれた建築家。
団地のリノベーション設計とともに団地専門の不動産屋「団地不動産」としてUR賃貸住宅のあっせん、分譲団地の仲介を行う。全国団地愛好家集団「プロジェクトD」メンバーとして団地の魅力を世に伝えるイベント企画出演、記事執筆もこなす。
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