TOMOS リモートワークに徹する
1R(25.23㎡)
「団地」の価値を見直し蘇らせる再生プロジェクトが、全国で始まっています。「いま、団地に暮らすってどんな感じなんだろう?」リアルに団地に暮らすひとびと、団地に関わるひとびとにお話を聞きます。
団地家の吉永健一さん、今回のテーマは、「平成の団地」。団地って、昭和に建てられたイメージでしたが、平成につくられたものにはより住みやすい仕掛けや、かっこいいデザインのものなど、いろいろありました。
text & photo : Kenichi Yoshinaga
団地というと「昭和」というイメージがあります。この連載でとりあげた団地も、昭和に建てられたものがほとんどですが、じつは団地は平成になってもつくり続けられていました。そんな「平成の団地」では、現代の生活にあわせて建物は変わりましたが、環境の良さや、お得な制度は健在です。
来年で元号が変わり、そろそろ平成を振り返ることが多くなるのではないでしょうか。そこで今回は、平成に建てられた団地について紹介しましょう。
平成の団地の中で多いのが、昭和に建てられた団地を建て替えるパターンです。多くは高層化されましたが、豊かでゆったりとした外部環境は、建て替え前から引き継がれています。
建物の間隔はゆったりと。緑はたっぷり、公園もきちんと。
建て替えですから昔から住んでいた住民が移り住むことも多かったでしょう。記憶を継承するため、元の団地の痕跡を残す例がよくあります。
アルビス旭ヶ丘では、元の団地に生えていた樹木やグランドが残されています。
ユニークなのはサンヴァリエ金岡。建て替え前にスターハウスが建っていたので、集会室と公園の東屋がスターハウスの形をしています。
平成の団地となると、最近のマンションと設備のスペックはほぼ同じです。
お湯は三点給湯ですし、浴室はユニットバスでキッチンも広い。
昭和の団地でも、折々に最新のものに設備を更新していますが、建物制約上、今のマンションでは当たり前のものがないことがしばしばあります。エアコンを取り付けられる部屋が限られていたり、洗濯機置き場がなかったりなど。
その点、平成の団地は問題ありません。設備的に不満があることはないでしょう。
最も大きなことは、5階建て程度の場合でもエレベーターがつけられるようになったことでしょう。緑が多くて車の危険が少ない団地は子育てに向いているとわかっていても、階段を子どもを抱きかかえて登るのはちょっと……と敬遠されていた方々にはうれしい仕様です。
昭和の団地の多くは標準設計と呼ばれる決められた間取り、建物が採用されていました。昭和53年以降はこの決まりが撤廃され、団地ごと独自の設計がなされました。
おかげで平成の団地では新しい試みがなされるようになって来ました。
パークシティーふれあいのまちはペット可の珍しい団地です。単にペットOKなだけでなく自由に散歩させてもOKな公園やエントランスに専用の洗い場を設けるなどペットと暮らすときに便利な設えもされています。
デザインを世界的に活躍する建築家に依頼するケースもあります。
南船場団地は、安藤忠雄。
東雲キャナルコートCODANは、新国立競技場の設計者隈研吾など、複数の建築家が関わっています。世界的に活躍する建築家に自分の家を設計してもらうことは難しいかもしれませんが、借りて住むことはできます。
昭和の団地に比べると家賃は高めですが、スペックやURや公社が用意しているお得な制度は変わりません。
団地に暮らしたいけど古いのはちょっと……という方にはおすすめの平成の団地です。
吉永健一
吉永健一
団地に取り憑かれた建築家。
団地のリノベーション設計とともに団地専門の不動産屋「団地不動産」としてUR賃貸住宅のあっせん、分譲団地の仲介を行う。全国団地愛好家集団「プロジェクトD」メンバーとして団地の魅力を世に伝えるイベント企画出演、記事執筆もこなす。
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