TOMOS リモートワークに徹する
1R(25.23㎡)
「団地」の価値を見直し蘇らせる再生プロジェクトが、全国で始まっています。「いま、団地に暮らすってどんな感じなんだろう?」リアルに団地に暮らすひとびと、団地に関わるひとびとにお話を聞きます。
団地家の吉永健一さん、今回のテーマは、「ひとり暮らしの団地について」。単身者向けの団地、なんてのもあるんですね!他にも、ひとりでも団地に住むことのメリットを教えてもらいましたよ。
text & photo : Kenichi Yoshinaga
ひとり暮らしの住まいといえばワンルームマンションを思い浮かべますが、団地も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
ファミリー向けのイメージがある団地ですが、リーズナブルな家賃や環境のよさから単身者でも借りている人は多いのです。
今回は、ひとり暮らし向けの団地についてお話していきましょう。
団地不動産に寄せられた問い合わせの傾向を見てみましょう。
問い合わせの4割はひとり暮らしのお客さんです。年代としては30代が最も多いでしょうか。団地を選ぶ理由は「家賃を安くしたい」または「同じ家賃でもっと広いところに住みたい」がほとんどです。
その一方、住環境の質は落としたくないとなると、前回お話したように通風採光ばっちりの団地はちょうどいい選択肢なのです。
高度成長期、都市部に移住してきた人たちを受け入れるため、団地は作られました。その中には単身者も多かったに違いありません。しかし2DKの団地は広すぎて家賃が手に届かないため、ファミリー向けとは別に単身者用の団地も用意されました。集合住宅というより寮に近い作りになっています。
部屋は4〜6畳と小さなキッチン程度。トイレと浴室は共同です。中には住民用のラウンジ(集会室ではなく)がついている団地もありますが、家賃はかなりお安くなっています。なるべくものを持ちたくないミニマリスト、トイレや風呂掃除はめんどくさいからいらない、寝起きできるスペースがあればいいので家賃は抑えたいという方にはぴったりでしょう。
もちろんトイレ、お風呂付きでひとり暮らしにちょうどいい団地もあります。1R、1DK、1LDKであれば広さ的にはワンルームマンションと同じぐらいです。設備は古めですが、日当たりのよさ、風通しのよさは比べようがありません。建物間隔が広くとられているので向かいの建物からの視線も気になりにくいです。
また、別荘や出張の居場所として借りる人もいます。ホテルよりも気楽だし、家賃的にはウィークリーマンションを借りることを考えると同じくらいです。保証人、礼金はいらないですし契約するのも解約するのも普通の賃貸より簡単です。
寝室とリビングは分けたいという人には2DK、物が多い人や趣味の部屋を持ちたい人には3DKちょうどいいです。ワンルームマンションと同じくらいの家賃で3Kくらいは借りることができます。団地不動産では、民間マンションから団地への住み替えをお手伝いしたお一人様の例が多くあります。口を揃えて言うのは賃貸に住むならもう団地以外考えられないということ。そんな団地でひとり暮らしを始めてみませんか。
吉永健一
吉永健一
団地に取り憑かれた建築家。
団地のリノベーション設計とともに団地専門の不動産屋「団地不動産」としてUR賃貸住宅のあっせん、分譲団地の仲介を行う。全国団地愛好家集団「プロジェクトD」メンバーとして団地の魅力を世に伝えるイベント企画出演、記事執筆もこなす。