TOMOS リモートワークに徹する
1R(25.23㎡)
「団地」の価値を見直し蘇らせる再生プロジェクトが、全国で始まっています。「いま、団地に暮らすってどんな感じなんだろう?」リアルに団地に暮らすひとびと、団地に関わるひとびとにお話を聞きます。
”団地家”の吉永健一さん、今回は「団地の種類」を解説してくれました。自分が「団地」と思っていたものだけが団地じゃないかも。それぞれの団地の性格を知りましょう。
text & photo : Kenichi Yoshinaga
団地はすべて同じではありません。
いままで公社、URと紹介してきましたがどこが運営しているか(簡単に言えばだれが大家か)で団地の性格は異なります。対象とする入居者層、家賃、建物のクオリティ、メンテナンスなどなど。
今回はそれぞれの団地を解説していきましょう。
団地を運営者別に分けてみました。
1)公営住宅
2)UR賃貸住宅
3)公社住宅
4)分譲団地・分譲貸し
5)社宅・官舎
都道府県・市町村が低所得者のために賃貸する団地です。
家賃帯は団地の中でも最安。所得が基準以下であることなどが入居の条件となります。
その分、建物の作りと設備は質素です。
UR都市機構が中堅所得者層のために賃貸する団地です。
家賃帯は団地の中では真ん中くらい。基準以上の所得があることが入居条件です。
その分建物の質は高く、メンテナンスも民間と比べて遜色ないほどに行われています。
都道府県および市の住宅供給公社が運営する団地です。
中堅所得者層がターゲットという点、家賃帯、建物の質もURとよく似ています。
ここまであげた三つの団地のうち、「URと公社」と「公営」では性格が異なります。
例えば公営では、メンテンナンス費用が抑えられているため、草刈りや建物周りの掃除は住民が行うことが多いです。一方URの場合は、建物周りの掃除は業者が行うので、住民は草刈りをする必要はありません。団地って草刈り当番があるんでしょ?と思われる方もいると思いますがこれは公営のイメージです。
URと公社は主に都市圏に建てられましたが、公営は全国津々浦々に建設されました。そのため「団地」と聞いたときに公営住宅が多くの人の頭の中に浮かびがちです。団地は大家によってそれぞれ特徴があるのに、すべて同じ「団地」としてくくられてしまうことはもったいないことです。
もう少し詳しく見ていきましょう。
建物クオリティを考えると抜群によいのはURです。
近年URは部屋のリノベーションからコミュニティづくりまで取り組んでおり、ソフト・ハード両面でクオリティが高くなってきています。
公社も同様な取り組みが行われ始めているので注目です。
公営住宅は家賃の安さは魅力ですが、建物のクオリティや環境を考えるとどうしても他に劣ります。
収入要件をクリアできるならUR、公社を選んだほうがよい選択です。
残りの団地についても解説しましょう。
賃貸のイメージが高い団地ですが、分譲もあります。それが分譲団地です。またその所有者が賃貸に出していることもあります。これは分譲貸しと呼ばれています。
家賃帯はやや高めですが、URのように手入れが行き届きクオリティの高い団地が多いです。
周辺に団地がなかったり、住んでみたい分譲団地にお試しで住んでみるにはいい選択です。
会社の社員、官舎は公務員のための宿舎です。
社宅は会社独自の設計であることも多く、間取りや外観など他では見られないオリジナル性が高いのが特徴です。
官舎は公務員用だからか質実剛健ものが多く好感が持てます。
この団地に住みたいので御社を選びました!公務員試験を受けました!なんて人もいるかもしれません。
このように団地の種類はひとつではありません。そしてそれぞれに特徴があります。
その違いを押さえれば自分にあった団地を選ぶことができるはずです。
吉永健一
吉永健一
団地に取り憑かれた建築家。
団地のリノベーション設計とともに団地専門の不動産屋「団地不動産」としてUR賃貸住宅のあっせん、分譲団地の仲介を行う。全国団地愛好家集団「プロジェクトD」メンバーとして団地の魅力を世に伝えるイベント企画出演、記事執筆もこなす。