正方形の1K・ワンルーム、どう家具をレイアウトする?おしゃれなインテリア実例6選
正方形間取りの1K・ワンルームって、どんなふうに家具を配置すればいい?6畳〜10畳ほどの正方形の部屋で、ベッド、ソファ、デスクなどをうまくレイアウトしたおしゃれなインテリア実例をまとめました。…
団地、アパート、ハイツ、マンション。グッドルームで紹介しているいろいろなお部屋、その外観も含めて「お、これはなかなか面白いな!」ていうもの、時々めぐり合います。そう、集合住宅って、おもしろい! 世界のおもしろい建築をたくさん巡っているタケさんに、おもしろい集合住宅を紹介していただくコラム。
第9回は、文字通り、団地界のスター的存在、「スターハウス」を大特集。全ての住戸が角部屋になるという、ユニークな団地です。たくさん並べてみると、なんだかかわいらしいですね。
現在の日本ではすっかり一般的な住まいに定着したマンションと呼ばれる鉄筋コンクリート造の集合住宅。その歴史を遡ると、軍艦島こと端島炭鉱の社宅(第3回の記事を参照)や、関東大震災後の復興住宅である同潤会アパートに行き着きますが、戦時中は民間の建設行為が大幅に制限されたこともあり、今のマンションの直接的な原点は、戦後に日本住宅公団(現・UR都市再生機構)や自治体が建設した団地だといえるでしょう。
団地と聞くと、多くの人は板状の建物(住棟という)が整然と並ぶ景観を思い浮かべるかと思います。戸数と各住戸の日当たりを確保するには板状住棟の平行配置が最も効率がよいので、必然的にどの団地も同じような景観になるわけですが、均質的で面白味に欠ける感は否めません。そこで、景観に変化を付けるためユニークな形も置くことを当時の設計者は試み、スターハウスという住棟が生まれました。
スターハウスは上から見るとY字型で、突き出た各部分を一戸が占めており、全ての住戸が角部屋という贅沢なつくりになっています。このタイプにスターハウスと名付けたのは実に優れたネーミングで、高度成長期における先進的な住環境「団地」を象徴する存在でした。しかし、形状の特殊性や1棟当たりの戸数が少ないため(5階建てでも15戸)、コスト重視の観点から次第に建てられなくなり、団地全体としては少数にとどまりました。
老朽化による団地の建て替えが進む昨今、スターハウスは急激に減っています。いずれはほとんど無くなるでしょう。今回は、2016年1月時点で現存する各地のスターハウスを紹介いたします。
名称:赤羽台団地
住所:東京都北区赤羽台1
事業者:日本住宅公団(現・UR都市再生機構)
完成時期:1962~66(昭和37~41)年
赤羽台団地は公団が団地のモデルタイプを目指して設計したもので、スターハウスは8棟建てられました。現在はヌーヴェル赤羽台という新しい団地への建て替えが進んでおり、スターハウスをはじめ当初の住棟は順次解体されています。
名前の通り赤羽台団地周辺は高台の地形。スターハウスはその縁に並んでおり、下にもマンションができてほとんど隠れてしまいましたが、昔は赤羽駅から高台のスターハウス群が見渡せたはずで、現代のタワーマンションに相当するステイタスシンボルだったことでしょう。
名称:常盤平団地
住所:千葉県松戸市常盤平
事業者:日本住宅公団(現・UR都市再生機構)
完成時期:1960~62(昭和35~37)年
常盤平団地は約4800戸もの大規模団地でスターハウスは10棟。現存する中では最大級の“星団”です。しかも、各地で古い団地が次々と建て替わる中、常盤平団地は建設当時のままそっくり残っています。今後も現状維持なのかどうかは分かりませんが残ることを期待したいものです。
樹木が生長して団地はまるで森のよう。ただ、樹木が視界を遮って10棟のスターハウスが見通せないのが惜しい。
名称:桃陵団地
住所:京都府京都市伏見区片桐町
事業者:京都市
完成時期:1959(昭和34)年
スターハウスは公団住宅だけではなく、自治体の公営住宅や住宅供給公社の住宅などにもあります。その中から京都市営住宅の事例を。京都初の大規模団地である桃陵(とうりょう)団地には6棟のスターハウスがあって、とっくり型給水塔というこれも団地のシンボルと並んだ光景が見られます。
名称:仁川団地
住所:兵庫県宝塚市仁川団地
事業者:日本住宅公団(現・UR都市再生機構)
完成時期:1959(昭和34)年
関西の公団スターハウスはほとんど解体済み。当時の姿がかろうじて残るひとつが仁川団地です。赤羽台団地のスターハウスが敷地の外周部に配置されて外部に対するシンボルだったのに対し、仁川団地は敷地中心部の高台に配置されていて、団地内のシンボルにという意図がうかがえます。
名称:基町住宅
住所:広島県広島市中区基町
事業者:広島県
完成時期:1960(昭和35)年頃
広島市の基町は、原爆で家を失った人々が集まって生じた木造住宅密集地区(原爆スラム)の再開発により、市営・県営住宅の中層~高層住棟が建ち並んでいます。基町住宅は県営の中層でスターハウスは6棟。隣接する高層住棟から特徴的なY字型を見下ろすことができます。こういう構図が得られるところは珍しい。
広島の戦後復興史では基町高層アパート(写真右)が取り上げられるケースが多く、それ以外の団地は影に隠れた形になっていますが、このスターハウスにも復興にかける行政の意気込みがこもっているといえます。
特別な見学イベントで内部に入ったときの写真です。住戸の3方向が外部に面するため、窓が多いのが特徴。日当たりや風通しは申し分ない反面、家具の置き場が少々悩ましいところです。
他にも紹介したいスターハウスはありますが、長くなるのでここで止めておきます。ところで、中層(4~5階建て)のスターハウスは昭和40年代以降ほとんど途絶えた(若干の例外あり)ものの、10階以上の高層住棟で継続し、最近ではスターハウス型のタワーマンションも登場しました。次回はそれらを紹介します。
写真と文・タケ