大正期の建物で優雅なティータイム『五感・北浜本館』(大阪近代建築カフェめぐり Vol.3)
レトロで重厚なたくさんの近代建築が残る大阪。歴史を感じる素敵な空間と美味しい料理が両方楽しめちゃう、近代建築カフェを巡ります。 第3回は、大正期に銀行として建てられたゴージャスな建物の中で、美味しいスイーツと紅茶とともに優雅なひとときを楽しんでみました。…
あの名作家具、みんなのお部屋ではどんなふうに使っているんだろう? お部屋の写真投稿アプリ、「RoomClip」には、名作家具のタグがたくさん。家具を買う前の参考になっちゃいます。
RoomClip 編集部が毎週おすすめの投稿をピックアップしてお届けしている「RoomClip Mag」 から、人気記事をご紹介。今週は、今年20周年を迎えるミッドセンチュリー家具の専門店「Mid-Century MODERN」の店長 楳澤 茂さんのインタビューです。
代官山駅からすぐのショップにお邪魔しました!
同業の家具のバイヤーさんから聞く話なんですが、イタリアとかのヨーロッパの国に行って知り合いになるとまず家に呼ばれるんですね。
家に呼ばれて飯を食いながら色々他愛も無い話を家族も含めてして、良いコミュニケーションがとれてうまくいくと、また家にも呼んでもらえるんだけど、
逆に言うとうまくいかない人は家にも呼んでもらえなくて、ビジネス的にもうまくいかないってなんていう、ひとつ文化というか風習があるんです。
海外では家の中に人を招き入れるいう文化があるので、インテリアを人に見せるというか、インテリアっていうのを装飾品の一種としてとらえる意識が根付いているように感じます。
—–なるほど。日本でも戦後応接間というものが取り入れたれましたね。
そうですね、昔は日本にも大きなお屋敷とかには応接間ってあったと思うんですよね。
—–それが今はなかなか見なくなりましたね。
そうですね。マンションでいきなり部屋に入ると、すぐにプライベートの空間だったり。
そうなると親しい友人か家族、親戚とかしかまず呼ばないじゃないですか。
僕らは仕事の関係上、家具の搬入などでお客様のご自宅に上がる機会が多いんですけども、どんなにこだわってる方でも、あまり人に見せたくないであろうプライベートな空間はあるんだな、というのは感じますね。
(ことわざの)洋服とか京の着倒れさんじゃないんですけど、見栄を張るっていう意味で、洋服、靴、カバン、車、時計とかいう物っいうものは、皆さん金額は遣えど奮発して購入される方も多いですが、家具みたいなプライベートな空間の物って、自分が満足できて
使えればいいって発想で、そんなにお金をかけない方達も多くなってきていますね。
—–Mid-Century MODERNのお客様っていうのは、そういう見えない、プライベートなところであってもやはり自分の満足度として楽しみたいという方がメインなんでしょうか?
そうですね。人より珍しいインテリアが欲しいという方に来ていただいています。
店内にはヴィンテージから新品までミッドセンチュリーの家具がたくさん!
—–ミッドセンチュリー系の家具の中でも、「椅子」というアイテムは、ソファとかデスクとかテーブルとかに比べると比較的取り入れやすいアイテムではないかと感じるのですが、いかがでしょうか?
やはり出し入れがしやすいアイテムというか、椅子だと気軽に取り入れやすいし、逆に手放しやすくもあるのがポイントだと思います。
やはり家具は大きかったり重くなればなるほど、入れ替えるのって引越しなどの大きなタイミングじゃないとなかなかできませんし。
あとは椅子というアイテムはそのキャラが際立っている!椅子だけの本が出るぐらい、多種多様な種類があるっていうのが多くの人が惹かれるひとつの理由なんじゃないかなとは思いますね。
ミッドセンチュリーっていう年代は、皆さん意外にアメリカの文化だという捉え方をされるんですけど、単に20世紀の半ばという年代の区切りなんです。
うちもアメリカのものもあれば、イタリア、フランス、もちろん北欧、日本のものもあります。
戦後の復興期にいろいろな大量生産が始まって、いいデザインを安く皆さんの元へっていうコンセプトで製品が作り始められ、その中で雛形というか、今のプロダクトの元になる型が、いい物悪い物色々含めてですけど、すごくたくさん生まれた年代なので、惹かれる人が多いのかもしれませんね。
—–ミッドセンチュリーという時代の中でも各国の特色があると思うのですが、具体的にはどんな特徴があるんでしょうか?
国であらわすのかメーカーなのかデザイナーなのかわかんないですけど、例えば北欧だとやっぱり木を使ってる物っていうのが多いですね。
うちで扱ってるハーマンミラーを代表するイームズのDCWという椅子は、もともと軍事産業用の技術を使っていて、成型合板っていう合板があるんですが、もともと軍物の添え木を作ってた技術を平和利用してあの椅子を作ったんですよね。
その後、脚が木よりメタルの方が丈夫じゃない?って事になるんです。
軍物の添え木(左)とその技術を利用して製造された椅子(右)が並んでいます
—–進化していく…ということでしょうか??
そうですね。FRPっていう素材も、もともと戦闘機のキャノピーにも使われていたプラスティックの樹脂をガラス繊維で補強してる素材。
今だとね、風呂桶とか船とか、色々使われてますけれども、そういった物を椅子にしたのがイームズのシェルっていう一番有名な椅子だったりしますよね。
—–当時の最先端だった素材で名作チェアが生まれているんですね。
デザインの成り立ちとかシルエットなんかはそのお国柄というか、多少変わったりもしますけどね。
新素材、例えばプラスティックとか。これを積極的に使った国はイタリアなどがありますし、フランスはアイアンとウッドとか、そういったテイストが多いような気がします。
—–今、Mid-Century MODERNさんで、イチ押しな椅子はありますか?
イチ押しな椅子。うちは、おかげ様で今年で20周年なんですが…
—–おめでとうございます!
ありがとうございます。ミッドセンチュリーというテーマで品揃えしているので、今も昔も扱う物は実はあまり変わってなくて。イチ押し…そうですねぇ…
一番売れててベストセラーなのはやっぱりイームズのシェルっていうのが今も昔も売れています。
何売れてんの?って聞かれて「シェルだよ」って。いつも同じ事しか答えらんないんですけど、永遠のスタンダードですかね。
—–シェルチェアーも脚の部分の素材がメタルであったり、木製であったりで、ちょっとの差ですが雰囲気違いますよね。
シェルチェアは80年代にFRPっていう素材のものが廃番になっちゃってたんですが、それが昨年からまたリバイバルでハーマンミラーで製造が始められたので、ヴィンテージを買わなくても新品の状態でハーマンミラーから入手できるようになったんです。
—–ヴィンテージと新品では何か差というか違いみたいなものはあるんでしょうか?
FRPに関しては、まず廃盤になって以降はヴィンテージでしか手に入れられなかったっていう経緯がありました。
2000年ぐらいからリサイクルの観点からポリプロピレンという素材で作り始められたので、ハーマンミラー社のものが欲しい!となると、新品のポリプロピレンかヴォンテージのFRPかという状態でした。それが、日本でいうと、半年前からなんですが、FRPで新品の物が入手できるようになったんです。
—–では、昔のFRPの質感が欲しかった人たちからすると朗報ということでしょうか?
そうですね。ただ、ヴィンテージのものは希少性みたいなことで値段的にはちょっと上がってしまったりということは起こっています。
僕的には市場的に、新品が出る事で市場価格が下がればありがたかったんですけど、逆に現在アメリカのディーラーは値段を上げてきてるんですね。
なので、ヴィンテージが入手しづらくなってきているのは事実ですね。
あとは、復刻で作られている色は8色あるんですけど、それ以外の色なんかはヴィンテージでしか入手ができないので、そういった物が欲しい方はやはりヴィンテージで探されています。
—–なるほど。具体的にはどんな色がヴィンテージでしか手に入らないのでしょうか?
ええと…逆に言うと新品で作ってる物は、白、黒、黄色、ネイビー、あと表にある緑の、わかりますかね、結構あざやかな緑のものです。
あと奥のオレンジとブルーっていうのも復刻のカラーで現在新品が手に入ります。
なので、それ以外のもうちょっと淡い中間色みたいな色とかは、今はもう、まだ作られていなくてヴィンテージでしか手に入りません。
人気のイームズシェルチェア。鮮やかな赤や緑のチェアは復活したFRP素材のもの。
—–日本の住宅はやはりちょっと狭くて、ある程度決まった形式のアパートに住んでいる方も多いと思うのですが、そういう環境でも、うまく椅子を主役に持ってこられるようなコーディネートのコツなどはありますか?
そうですね…どういう過ごし方をされる部屋なのかというのによるところが多いと思うので、一概にはいえないですね。
ソファにくつろぎながらテレビを見ている時間が多いのか、食卓に座ってテーブルを囲んで団らんしている時間が好きなのかとか。多分過ごされる時間の長さで、お部屋の趣旨の中心は変わってくると思うんですよね。なので、理想としては、まず間取りやそのサイジングに合った物を基本的には置いてもらうのがベストなのですよね。
でも、絶対的に部屋の大きさが足りない。この椅子を一脚までしか置いちゃいけません!とは違って、これを置くと便利だから置いちゃおうとか、これ飾ると可愛いからって言うのをなるべく削いでいって「インテリアの引き算」をする。すると部屋は綺麗にシンプルに保てる。それが暮らしやすいかどうかは別としてですけど(笑)
結局一番は、好きな物を好きなように置くのが自分なりのインテリアのコツだと思います。
でも最初は自分が何が好きな物がわからないし、使ってみないと使い心地もわからないとは思うんです。
洋服って、トルソーにコーディネートがあって、それで大体想像できるし、男の人だったらズボンとシャツか、パーカーなのか、スーツなのかっていうパターンがあってそれで大体が決まると思うんですけど、同じワンルームの中でも、場所もそうだし好みもあるし、全く同じ部屋に住んでる人ってほとんどいらっしゃらないと思うので、インテリアに関しては多分一生かけて自分が好きと感じるものや、使って快適だと思うものを模索していただくのが楽しみだと思います。
正解にはなってないかもしれないですけど、まずは好きなように置いてみて、ダメなら売っちゃうっていう考えを入れるといいかなって。
本物と呼ばれる物を手に入れたら、所有してる満足感も違いますし、万が一それを使って合わなくても、それなりの価格で売れるんです。
例えばヴィンテージのもの。うちだけの話で言うと、例えばお客様に10万円で椅子買っていただいたら、それに飽きたら売りに来てくださいってお伝えしています。10万円の価値の物は、うちは多分、来年も再来年も10万円の価値で物を販売しているお店なので、お預かりした時も多分10万円で売る事になるんですよね、また。
うちは委託販売をやっているんですが、このシステムを利用すると売価の7割をお戻しするんです。そうすると長い目で見ると、3万円でその物を買ったっていう計算になるんです。3万円で例えば5年ないし10年使ったら、そんなに高い物じゃないじゃないですか。
ヴィンテージがさらに面白いのは、10万円の物が、20万円に価値が上がったりもするんですよね。20万になってれば、14万円戻せるんで、その時点ですでに4万円のプラスです。もちろん逆もありますが、壊れない限りは価値が0円になってしまうことは無いと思います。売れるだけの価値がある家具選びをされるっていうのがひとつ、いいかなとは思います。
—–そういった売れるような価値がある物かどうかのチェックポイントはあったりするんでしょうか?
例えばメーカー。ブランド品と同じ感じだと多分わかりやすいかもしれないです。他の人が見ても共有の価値観が持てるか、一定の価値観があるほうがいいですよね。
デザイナーだったりブランドっていうのが共通認識の中で一番わかりやすいとは思います。売る時は、買ったお店で売れば安心ですね。うちはそういうこともやってますけど、売るだけで買ってませんよってところもあるので全部が全部そうはいきませんが。そういった範囲で購入すればそんなに怖くないのかなと思います。
でも、やっぱり大なり小なり失敗はしちゃうと思うんです。絶対。変な話。
今回快くインタビューに応じて下さった Mid-Century MODERN 店長の楳澤 茂さん。ありがとうございます!
—–その最初の失敗が怖くてなかなか手が出せない方とかも多いかと思いますが…
そうですよね。物も高いし、よく考えて、迷ったけどやっぱこれじゃない!なみたいな。
使ったけどなんかすごく脚が高くてすわり心地悪いなとか、憧れて買ったけどやっぱり違ってたなみたいな。
買ったけど、結局座らないし飾りになっちゃってるからもったいないなとか、結構あるとは思うんですよね。
—–でもそうやって失敗をしつつ、じゃあこういうのだったらいいんじゃないかっていう、ある種の知識であったりとか、そのことによって自分の生活してる空間自体のことを考える楽しさがあるんですね。
個人的には身の周りにあるもの全てが好きな物という状態が理想だと思うんですよね。
1人暮らしの人とかは広さ的に大きなものは置けなかったとしても、自分の身の回りにある物、着る物、食べる物、全て自分の好きな物を置けるいうのは多分ひとつの理想じゃないかなと思います。でも結婚して家族と好みが合いませんとか、ペットを飼っていて制約があるとか、全て自分の思い通りにならないっていう環境がほとんどかもしれないですが。
でも、憧れの生活を理想に持つっていうのは、すごい大事だと思うんです。
いい部屋、例えばハリウッドの何とかでもいいんですけど、こんな家に住んでみたい!とか、こんなソファに座って映画とかゆっくり見てみたい!とか、こんなお風呂に入ってみたい!とかなんでもいいんだと思うんですけど、そういう憧れを持っているっていうのはすごい重要じゃないかなと。
安いからとりあえずこれで済ませこうっていう買い方が、実は一番もったいないかなって。でも全部ブランドの家具にするってことは必要ないと思うんです。たとえば衣装ケースまでブランド品にすることもなく、それは高くなくてもいい物はあるんで、そういうのは要所要所使えばいいとは思うんです。
理想を高く持って、昔は買えなかったけど、少し大人になって貯めたお金でがんばって憧れてたこれを入手したっていう時の喜びは、格別ですよ。
そうして手に入れた家具は一生使って欲しいですよね。
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「Mid-Century MODERN」店長 楳澤 茂さん、楽しいお話ありがとうございました!
インテリアに憧れや理想を持つ…そういったことで日々の生活に張り合いが生まれるのかもしれませんね。
是非皆さんも参考にしてインテリアを楽しんで下さいね☆
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