「間取り図から想像し、癒されていた」上京の部屋
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。 今回は、今年の4月に上京、建築系の書籍を扱う会社にお勤めの、楠田さんのお部屋を訪問。大山さん、趣味が近いせいで「もしかしてここ、ぼくの部屋だったかもしれない」なんて言っちゃってます。…
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
第3回は、これぞ男の城!選び抜かれた品々とかっこよく暮らす、会社員Oさんの家におじゃましました。
(編集部)
毎回いかしたお部屋におじゃまして写真を撮らせてもらうこのシリーズ、今回おじゃましたOさんの部屋もすてきでした。ただ、これまで見てきたのと雰囲気が違うなー、と感じました。なんだろうこの感じ。強いて言うなら「親近感」だろうか。って言っちゃうとまるでぼくの部屋に似ているかのようですが、ぼくの部屋はぜんぜんこんなにきちんとしてないんです。まったく足元にも及ばないどころか足元の地下40mにも及んでないです。つまり大江戸線の深さ級の及ばなさです。
と、わけのわからない喩えをしなきゃならないぐらい、ぼくの部屋とは似ていないわけですが、それでも親近感的な何かを感じたわけです。で、思い至ったのはこれが独身の方の部屋だからなのではないか、ということ。これまでの取材先はご夫婦の家だったけど、Oさんは若い独身の男性。つまりありきたりな言い方をすると「自分の城」って雰囲気をぼくは感じたわけだ。なるほどそうだ。そうに違いない。って、ぼくは独身ではないんですが。おかしいな。
前2回のご夫婦の部屋も、今回のOさんの部屋も統一性があっていいなあ、と思うわけですが「ふたりの趣味をすりあわせた結果のすてきさ」と「自分だけのためのものを整えていった結果のすてきさ」とはやっぱり微妙に違うんだな、と気がついた次第。そしてぼくが親近感を感じちゃったっていうのはつまりぼくは「妻とすりあわせてない」ってことだ。そして独身だろうが結婚していようがそもそも整ってない、と。妻よ、すまん。
さて、Oさんのこのお部屋、まずびっくりしたのはその明るさ。上にある恒例の平面図写真はダイニングキッチンとリビングの部分なんだけど、これに個室とバス・トイレとを合わせるとその縦横比は正方形に近い。つまり、窓が広い。この部屋がある建物はいい感じのでレトロ雰囲気だったんですが、この時代の設計って今から見ると採光的にはぜいたくだったりする。ほら、新しいマンションって玄関から奥に深く細長い間取りだったりするじゃないですか。あれだと部屋の面積に対して窓幅が少なくなるんだよね。それで言うと昔の団地も正方形で明るくていいんだよ!(いきなり団地を賞賛してすみません。ぼくは団地マニアなもんで)
そしてなにより全面的なリフォームによってダイニングキッチンとリビングがひとつになっているのも、この明るさの原因のひとつ。「リフォーム前はふつうの2DKでした」とOさん。「古くさくて、いまの状態とはぜんぜん違ってました」
—そういう状態でよく入居を決めましたね。
「実は友人がこのビルの他の部屋に住んでて、そこがリフォーム済みだったので」
—なるほど、それを見ていたのでいい部屋になるのが分かっていた、と。
これすごくいい話だな、と思った。ほかの商品だったら口コミってあるけど、部屋だとなかなかない。考えてみたら、契約しちゃったらすぐには出られないし金額も大きいんだから、部屋選びこそこういう「友達・知り合いの評判で決める」ができるといい。なかなか難しいけどね。
「自分の城」なんて言ってしまうと、趣味のグッズがうずたかく積まれているかのようだが、ご覧の通りOさんの部屋はそんなんじゃない。すごくきれいに整頓されている。「買わなきゃ後悔するかも」「いつか使えるかも」という禁断の呪文で部屋がどんどんひどいことになっていくぼくと違って、モノが少なくてもちゃんと「自分の城」感が漂っている。見習いたい。妻よ、すまん。
「自分の城」といってやたらな高級品が置かれているかというとそういうわけではないとのこと。それがまたすてきだなあ、と思った。つまり「高いから良いものだろう」ではなく、デザインと機能を見極めて気に入ったら手に入れている、ということだ。上の写真の自転車も、もしかしてすごく高いやつですか?!と下世話な質問をしてしまったが「そんなことないですよ」。
また、この連載のもうひとつの恒例写真行事「たくさんあるモノを並べて撮る」(前回はぬいぐるみ、その前は大工道具でした)に関して、事前に何を並べていただけるかOさんに候補を挙げていただいたのだが、その回答のひとつが「ワインとワイングラス」だった。これもうっかりするとイヤミになりそうなものだけど、ぜんぜんそんなことなかった。
「これが気に入ってて、ぜんぶこれです」とOさん。びっくり。「ワイン好き」と聞けばいろいろな種類の高級なやつを揃えてうんちくを語る人を思い浮かべるけど、まったくそういうんじゃない。こういうワイン好きもいるのか!って目から鱗だった(もしかしたらワイン界では珍しいことではないかもしれませんが)。平常心の「自分の城」っていいなー、と思った。
—ほんとにこれしか飲まないんですか!?
「友人と部屋でよく飲むんですけど、他のお酒は持ってきますから。
『あいつのところにはどうせあのワインしかないから』って」
ところでこのテーブルもまたいい。実は部屋に入れていただいて最初に「いいですねー」ってぼくと編集の田村さんが言ったのは、このテーブルに対してだった。
—たしかにこれは触ると木目がざらざらしてて気持ちいいですね
「表面コートしちゃってるもののほうが手入れは楽なんでしょうけど…」
—椅子もかわいい。シェルチェアいいですよね
「これも部屋に合わせて買いました」
部屋に合わせて家具を揃える。いいなあ。モノに支配されるのではない「自分の城」ってこういうことか、と思った。見習いたい。
大山 顕
写真と文:大山 顕
“ヤバ景” フォトグラファー / ライター。1972年11月3日生まれ。住宅都市整理公団総裁。出版、テレビ出演、イベント主催などを行う。「”ヤバ景”って何?」「”総裁”っておおげさじゃない?」など各種ご興味がわいた方は OHYAMA Ken.com にいってみてください。
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(最後にもう一度編集部から)
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