single.php

いま「写ルンです」がまた愛されてます『WONDER PHOTO SHOP(東京・原宿)』

アナログの楽しみ方。 Vol.1

シェア
いま「写ルンです」がまた愛されてます『WONDER PHOTO SHOP(東京・原宿)』

スマートフォンで思い立ったらすぐ、カメラが起動できる今、いつでも身近にある「写真」。デジタルの写真は、撮ってすぐに確認をしてSNSにアップして、スピーディーに大量に、流れていきます。そんな時代だからこそ、少し時間をかけて、ゆっくり写真に向き合うことのできる”アナログ”な手法が注目されているのかも。チリチリとフイルムを巻いて、ワクワク現像を待って。「手触り」のある写真を楽しんでみませんか?
(text : Miha Tamura / photo : Takuya Kanai)

まだデジタルカメラが普及していなかった小・中学生の頃、修学旅行の写真を撮るときにとてもお世話になった「写ルンです」。27枚のフィルムを大事に使って、3泊4日の思い出を撮りためたのが懐かしい。
その「写ルンです」が、若い世代でまたブームになっているという。
原宿にある富士フイルム直営の写真店「WONDER PHOTO SHOP」で、担当の築地紀和さんにお話を伺った。

dsc06680

「写ルンです」は今年で30周年

「写ルンです」の誕生は1986年。いままでに販売されたものは100種類を超え、全世界で17億本以上売れたという。「今日は、代表的なものだけ持ってきたのですが……」と、築地さんが机の上にずらりと並べてくれた「写ルンです」は、形や機能も様々に、工夫を重ねて進化してきた歴史を物語っていた。ついつい、見覚えのあるデザインを探してしまう。

1986年7月1日に販売開始された、初代「写ルンです」のうちの1台。3つあったうち、フィルムのカートリッジの外箱デザインにもっとも近いこちらが当時も一番人気だったという。

1986年7月1日に販売開始された、初代「写ルンです」のうちの1台。3つあったうち、フィルムのカートリッジの外箱デザインにもっとも近いこちらが当時も一番人気だったという。

(左)フラッシュのデザインも日々進化。フラッシュのボタンを引き起こしながら撮影するものに、たしかに見覚えがある!
(右)90年代後半の女子高生ブームのときには、自撮りと接写ができる3WAYタイプ、ホワイトのデザインのものが登場した。


(左)フラッシュのデザインも日々進化。フラッシュのボタンを引き起こしながら撮影するものに、たしかに見覚えがある!
(右)90年代後半の女子高生ブームのときには、自撮りと接写ができる3WAYタイプ、ホワイトのデザインのものが登場した。

自然に発生したSNSでの再ブーム

instagramで「#写ルンです」を検索すると、現在なんと9万件以上の投稿がある。
写ルンですで撮ったあと、写真店でデータをCDに落とし込み、それを投稿しているらしい。最初からスマートフォンで撮影すればいいのにどうして!? とわたしなどは思ってしまうが、それはメーカー側としても同じ驚きだったのだという。

「著名人の方がファッション写真を写ルンですで撮り始めてくれたこともあって、ファッションに敏感な若い女性に自然に広がっていったみたいですね。こちらから仕掛けたのではない自然発生的なブームで、私たちも気づかされたことが多いんです。今年はちょうど発売から30周年を迎えるのでアニバーサリーキットを発売したんですが、第一弾が約3ヶ月で5万本を完売してしまうなど、予想を超える人気でした。」

こちらがその、アニバーサリーキット。現行モデルに、初代のデザインを再現した「デザインカバー」をつけて着せ替えることができる。同行の撮影スタッフは早速、発売中の第二弾を購入。こちらは1987年モデルを再現している。

こちらがその、アニバーサリーキット。現行モデルに、初代のデザインを再現した「デザインカバー」をつけて着せ替えることができる。同行の撮影スタッフは早速、発売中の第二弾を購入。こちらは1987年モデルを再現している。

現像に出すワクワク感

「写ルンです」で実際に撮影した作品を見せてもらうと、たしかに、デジタルカメラで撮るのとは違う独特の風合いがあり、あたたかみが感じられた。特に、太陽光を取り入れた写真は、フィルムの粒子によって光がぼけて、やわらかい感じに仕上がる。

築地さんは、他のところにもアナログならではのおもしろさがあると教えてくれた。

「デジカメやスマートフォンが当たり前にあって、デジタルに慣れ親しんでいる若いひとたちには、撮ったあとすぐにはどんなふうに撮れたかわからないということが新鮮にうつっていて。現像に出すときのワクワク感や、焦らされる感じが逆におもしろかったりするみたいですね」

30周年の特設サイト「写ルンですLife」で掲載されている写真家石野千尋さんの作品 リンク:http://fujifilm.jp/personal/filmandcamera/utsurundesu/promotion/lf30/

30周年の特設サイト「写ルンですLife」で掲載されている写真家石野千尋さんの作品
(画像はサイトキャプチャ:http://fujifilm.jp/personal/filmandcamera/utsurundesu/promotion/lf30/

いつでも、どこでも、誰にでも。

「写ルンです」の一番の魅力は、誰でも気軽に、フィルムでの撮影を楽しめるところだ。現在発売中の27枚撮りモデルは734円(想定価格)。データCDへの現像プランは918円から。誰にでも、手軽で楽しみやすいことは、発売開始当初から変わらないコンセプトだという。

「発売当時、フィルムカメラはとても高価なもので、写真を撮るのは家族の中ではお父さんの役目でした。もっと写真をいろんな人たちに楽しんでもらえるものにしたい、”いつでも、どこでも、誰にでも” 写真が撮れるものを、というコンセプトがあったんです。そのためには、カメラ自体をもっと簡単なものにしないといけない。最低限、フィルムにレンズとシャッターさえつければ写真が撮れる、という発想で作られました。だから、『写ルンです』は、カメラではなく、1本、2本と数える”レンズ付きフィルム”なんです。今も、デジタルとアナログで撮り比べて、両方すみわけできているのが、おもしろいなと思います」

instagramの「#写ルンです」タグには、毎日、写ルンですで撮影されたたくさんの作品がアップされている。自分もちょっと参加したくなってしまった

instagramの「#写ルンです」タグには、毎日、写ルンですで撮影されたたくさんの作品がアップされている。自分もちょっと参加したくなってしまった。(画像はサイトキャプチャ:https://www.instagram.com/explore/tags/%E5%86%99%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%81%A7%E3%81%99/

お話を聞き、おなじみのあのフォルムを実際に手に持ってみると、1枚撮ってはチリチリとフィルムを巻きとる感覚が蘇ってきた。たしかに自分にもすぐできそうで、すぐにでも、どこかに出かけてまた写真を楽しんでみたくなってしまう。「写ルンです」にはそんな魔力があるように思う。

WONDER PHOTO SHOP

dsc06581
wonderphotoshop

富士フイルムの直営写真店。撮影し終わった写ルンですを持ち込んでデータ化してもらうのはもちろん、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した素材も様々な形にプリントして楽しめる。プリントした写真をボックス型に仕立てるポップアップキットや、デコレーションするためのマスキングテープ、シールなどの雑貨も揃い、ここに来れば、写真をつかったオリジナルギフトが簡単に出来上がる。

東京都渋谷区神宮前6-29-4
【1F】営業時間 11:00 – 20:00|TEL 03-6427-9703
【2F】営業時間 11:00 – 19:00|TEL 03-6427-9709
※第2・第4木曜日は1F・2F共 18:00まで / 年末年始を除き無休
http://wonderphotoshop.jp/

>goodroomで原宿駅の賃貸を探す
>goodroomで渋谷区の賃貸を探す
>goodroomで山手線の賃貸を探す

シェア
いま「写ルンです」がまた愛されてます『WONDER PHOTO SHOP(東京・原宿)』
この記事を気に入ったら
いいね!しよう
twitterで購読

関連記事

手になじむ器と道具を買いに Vol.5

大切にしたい器が見つかる。隠れ家のような、小さなギャラリー&ショップ「shizen」(東京・表参道)

毎日手にとるものだから、こだわって選びたい器と台所道具。料理と食事を楽しくしてくれるような逸品の揃うお店をたずねます。 今回おじゃましたのは、神宮前の小さな路地に佇むギャラリー&ショップ、「shizen」。ずっと大切にしたくなる器が見つかるお店です。…

#賃貸でもカスタマイズ

DIYでも質感にはこだわりたい! toolbox に揃うとっておきのDIYアイテム(東京・原宿)

賃貸でも、自分らしいインテリアを実現したい! 最近各地に登場するDIYショップで、暮らしのヒントをもらいましょう。 今回訪れたのは、原宿にある toolbox のショールーム。アイディアの宝庫のような場所で、賃貸でもできるカスタマイズテクニックをお聞きしてきました。 …

アナログの楽しみ方。 Vol.6

手紙を読むように、「zine」を読む『MOUNT ZINE Shop(東京・都立大学)』

本屋さんに立ち寄って、棚に並べられたいろんな雑誌の表紙を眺め、手に取る至福の時間。大好きな雑誌を手にいれ本棚に並べるときには、特別な価値があるように思います。最近では、北九州市が発行し一部の地域やお店限定で配布する雑誌「雲のうえ」にファンクラブができるなど、出版社によらず自分たちで作る雑誌「zine」も人気。「zine」の発行・販売をしているお店に、その魅力をあらためてお聞きしてみました。 (t…

アナログの楽しみ方。 Vol.5

本棚に”自分の好きなコト”を並べたい『SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(東京・渋谷)』

本屋さんに立ち寄って、棚に並べられたいろんな雑誌の表紙を眺め、手に取る至福の時間。大好きな雑誌を手にいれ本棚に並べるときには、特別な価値があるように思います。最近では、北九州市が発行し一部の地域やお店限定で配布する雑誌「雲のうえ」にファンクラブができるなど、出版社によらず自分たちで作る雑誌「zine」も人気。「zine」の発行・販売をしているお店に、その魅力をあらためてお聞きしてみました。 (t…

アナログの楽しみ方。 #column

代々木八幡『SO BOOKS』で手に入れる”名作アナログ”

渋谷区代々木八幡、高架横の小さな路地に店を構える、写真・アート専門の古書店「SO BOOKS」。本棚に入りきらず天井まで積み上げられた古書は、1冊1冊、手に取れば作り手の想いが「もわっ」と立ち上ってきそうなほど、濃厚なものが揃う。 店主・小笠原郁夫さんに、「写真」「アート」「本」という形のなかでも特に、”アナログ”な手法で作られた名作をお聞きした。…

spacegray
main_copy
sub_copy
goodroom